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2004年08月23日
16歳の合衆国
見てきました。ガラガラだった。
恋人の弟である障害児を殺してしまった少年の話。前半はその少年がいかに「感じない」かについて描かれてたりもするのでアスペルガーを題材にしてんのかよ、なんて安直な!とか思ったんですけど実際はその逆で「見えすぎること」「感じすぎること」と、「言葉の空虚さ」「物語ることの重要さ」みたいのが扱われているように感じた。
いろいろ考え込んで世の中の善というものは悪が存在するから初めて実感できるものであると思ってしまったり、世界をネガティブな側面からしか捉えられなくなることは誰にでもあることだと思う。ただ、そこでとどまるか、そこを通過点とするかには大きな隔たりがある。「どうでもいいじゃんな、んなこと」って思える人間のほうがおそらく社会には適応しやすいんだろうけど、そういう風にはなりたくない、と思ってるピーター・パンな俺としては彼が殻に閉じこもることになったプロセスというのは非常に共感しやすかった。開き直ったり、投げやりになること以外でそこから抜け出すっていうのは難しいよね。どうやってみんな抜け出してるんだろう。あ、映画観て主人公に自分を投影しちゃうのってナルシスティックでキモいな。えへえへ。
リーランドがライアンに感じたような気持ちは、この仕事をしていると感じざるを得ないことがよくある。ただ、そこで他者がそこから解放させようとかその人の代わりに自分がジャッジを下すというのはややエゴイスティックすぎるというか暴走するシャア・アズナブル的な感じだよね。いや別にリーランドは自分の行為を正当化しようとしてないけど。
物事が起きてしまった後にいくら言葉を並べたって変わらないんだという感覚を持ちながら、パールとの対話の中で自分の中の物語を作っていき、自分の中の何かを変えていくリーランドの様子を見ていると「言葉は人に気持ちを伝えるためではなくて、自分を振り返るためのもの」であることを強く実感させられる。「理由なんてない」と言いつつも結局理由を導き出していくことになるような展開だけど、最終的に彼が見出したのは理由ではなくて「自分」という感覚だったんだろうと思う。カウンセリングのプロセスとおんなじだった。
「理由なんてない」というところに焦点を当てようとしているからか、ポラード家の家族システムの歪みについて語られてなかったりフィッツジェラルド家の夫婦関係もやや曖昧に描かれているところはまあしょうがないにせよ、ラストはちょっと残念。あれじゃあアレンはリーランドをああするために無理やり少年院に入れられた感じだよな。
音楽も印象的で、この声ってJEREMY ENIGKだよなーと思いながら聞いてたらやっぱりそうだった。他にもPIXIESとかインディー・ロックが多数使われていたんだけどすげーハマってた。リーランドが少年院に入るシーンとエンドロールで使われてた曲は是非もう一度聞きなおしたい。あれはヤバかった。サントラ出てないのかなあ。
みたいな感じで色んなことを考えさせてくれる映画で、観終わったあとに5時間ぐらい酒にまみれて話をしてしまった。結末はともかくとして、ウジウジ系を愛する人にはオススメの映画ですよ。映画館出ると歌舞伎町っていうのも味わい深くてよかったです。
投稿者 trouble : 2004年08月23日 23:23
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コメント
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