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2008年08月17日

BIRTH OF THE SUN / RISING FORCE

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BIRTH OF THE SUN / RISING FORCE

Powerline Recordsから突如リリースされたイングヴェイのアマチュア時代の音源。しかも当事者Marcel Jacobがリミックス&リマスターを手がけるというそりゃイングヴェイはブチ切れて当然、な1枚。発売当時はビックリしたもんです。

イングヴェイのブートLPの中でも入手困難かつ中身の価値が高いと言われていた通称「白ジャケブート」に収録されていた4曲にSpeed and Action(イングヴェイ自身がリリースしたTHE GENESISではPlug In Lucifer's Mindというタイトル)、Voodoo Nightsを加えた6曲入り。今から15年ほど前まではこの音源は82年にスウェーデンのCBSのためにレコーディングしたものでは?と言われていたが、マルセルのライナーによればBIRTH OF THE SUNに収録されている音源は80年に録音されていたものらしい。ちなみにCBSのためにレコーディングした3曲というのは、Soldier Without Faith, You're Gonna Break Them All, Horiszonsの3曲とのこと(GOLD WAX誌のスパーク・ジャガー氏の記事より)。

さらに余談を重ねると、イングヴェイのアマチュア時代の音源としてはこの他にBLACK STARというブートLPが有名で、そちらもなかなか音質がいい上にMerlin's Castle、Dying Man, Suite Opus:3すべてBIRTH OF THE SUNとは別音源が使われている(Black Star, Magic Mirror, As Above, So Below, Anguish & Fearも収録)。と言っても今LPが聞けないのでそれが「別録音」かそれとも「別編集」かは確認でけん。裏ジャケには80年から81年に録音されたものと書かれているんだけど、詳細はわからん。レコードプレイヤー出したら聞き比べてみよう。

ともかく、BIRTH OF THE SUNのレコーディングメンバーはイングヴェイがヴォーカル&ギター、Marcel Jacobがベース、Zepp Urgardがドラムの3人編成。プロデューサーもいない状況だったのでヴォーカルとギターのオーバーダブ以外はほぼライブで録音せざるを得なかったらしい。HEAVY LOADのRagne Wahlquistが所有するストックホルムのThunderload Studiosでレコーディング。

POWERHOUSEでの録音の2年後だが、イングヴェイのギターは「ホントこいつ学校とか行かずにギターばっか弾いてたんだろうなあ」という勢いで進化しており、ほぼ現在の「ネオクラシカルスタイル」を完成させていると言っていい。ペンタトニック以上にハーモニックマイナーを使った速弾きが印象的。曲自体の方向性はPOWERHOUSE時代とほぼ変わらないダークな北欧ヘヴィメタルだが、全体的にレベルがアップしているというか「完全にプロの作品」になっている。地下室でドロドロと閉じこもっていたかのようなPOWERHOUSEより随分と垢抜けた。

個人的にはZepp Urgardのドラミングが気持ちいい。EUROPEに在籍していたトニー・レノに共通する雰囲気が好き。ていうかイングヴェイ17歳、マルセルとZeppが16歳のときにこんだけの作品てすげーな。POWERHOUSEには稚拙さがあったけど、こっちはあんまないもん。イングヴェイのギターはもちろんそれを支える二人が16歳ってのが信じられん。

マルセルのライナーによれば、「ろくなシンガーが回りにいなかったからしょうがなく」歌ったイングヴェイのヴォーカルはやはりきっついもんで、テープの回転数間違えたかのような低音でモッタリ歌っている。Merlin's CaslteはRAINBOWのStargazerを稚拙にした感じの歌詞でファンタジックだが、Birth Of The Sun、Dying Manはその後のイングヴェイの「てめーらは俺を倒せないぜ」的強がりソングの原型のような歌詞。

イングヴェイのマヌケなヴォーカルのおかげで北欧ならでは田舎っぽさ満点で、聞いてて楽しい。Zepp Urgardはその後ポルノ男優になったということですが、どなたか見たことある人はいませんか?

投稿者 trouble : 22:24 | コメント (52)

Yngiw Malmsteen's POWERHOUSE

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イングヴェイの新作発売予定日がまた延期になってしまった。今月末に発売されるメタリオンは「完成したアルバムを聞いてのインタビュー」という触れ込みだったけど、果たして大丈夫なんだろうか。録音された素材の音の悪さにミックスのロイ・Zがアタマを抱えているとか、ロイ・Zがミックスした「まともな音のアルバム」に納得のいかないイングヴェイが「悪い音のアルバム」に作り直しているんじゃないかとか不安は尽きません。

そんな不安を紛らわすために彼の過去の作品を改めて聞きなおしていこうと思い立ち、まずはこのアルバムから。Hit 'n Run Recordingsというレーベルから突如リリースされたアルバム。裏ジャケにはThe very first recordings by a 15 year old Yngwie Malmsteenと謳われているとおり、イングヴェイが1976年に結成したというPOWERHOUSEのアルバム。非常に怪しい商品ではあるが、収録されているHuntedはその後Music For Nation盤のINSPIRATIONのボーナスディスクに「15歳時にレコーディングした曲」として収録されているのと同じ。イングヴェイのマネージメントも「許可なくリリースされたブートレグ同然の商品」と言ってるので限りなくグレーな商品ではあるが、中身に関しては間違いなく本物である。

イングヴェイの15歳当時といえば学校の廊下をバイクで走るというスクールウォーズのオープニングのようなエピソードをかまして退学するとかそういう生活だったらしいが、それでも母親はイングヴェイの音楽的才能を尊重し、音楽三昧の生活を許していたらしい。バイクで廊下を走るのは音楽的才能の尊重とはまたちょっと違う気がしないでもないが、とにかくそんな恵まれた環境でひたすらギタープレイに没頭していたようだ。

ではそんな問題児が当時どのような音楽を作っていたのかということだが、さすが天才と言わざるを得ない音楽だ。おばあちゃんちの2trackのレコーディング機材で録音したらしいこのアルバムで、すでに独特のネオクラシカルメタルとしてかなりのレベルを達成している。1曲目のVoodoo NightsのリフはODYSSEY収録のRising Forceのリフだし、後にMotherless Childで使われるパーツも組み込まれているなど、その後のイングヴェイの名曲の源泉が随所にちりばめられている。アマチュア時代の曲の中でも名曲の誉れ高いMerlin's Castleはこの時点ですでにほぼ完成。Rising Forceのキメパートもすでに組み込まれている。曲名に関しては、正しいかどうかは微妙。Last JourneyとViking Battle(Suite)はトラック分けされて2曲として収録されているが、この2曲でSuite Opus:3とする可能性もある。実際マルセル・ヤコブがリリースしたBIRTH OF THE SUN、イングヴェイがリリースしたTHE GENESISでは1曲扱いだ。

テクニックはまだまだ未完成で所謂「速弾き」を感じさせるところは少ない。まだまだ「リッチー・ブラックモア的なファストプレイ」で、ハーモニック・マイナーよりもペンタトニックを多用している印象。ただ、チョーキングやヴィヴラートはすでに一級品で、15歳が演奏してるとはなかなか想像し得ない。リズム隊は誰が演奏しているかは不明でドラムに関しては稚拙と思われる箇所は多いが、音楽の雰囲気を損なうものではない。

恵まれているっつってもレコーディング機材はチープだっただろうし78年に自主制作した作品なわけで音質は劣悪。ただ、その劣悪さがまた独特のヘヴィネスや邪悪さの源にもなっていて、クラシックを基盤としたメタルというお行儀の良さではなく、北欧暗黒ドゥームメタルと言った趣がある。CANDLEMASSやKRUXのリーフ・エドリングと親友っつーのがこのヘンで納得できたりもする。後にODYSSEYに収録される美しい小曲Memories(このアルバムではLast Journey)のような曲もなぜか静かというよりも陰鬱な雰囲気が漂い、GOD SPEED YOU! BLACK EMPERORを想起させたりも。続くViking Battle(Suite)(後のKrakatau)のドゥームっぷりはかなりのもの。ちなみにこの曲20分もあります。トータルでは9曲で77分以上。長尺な曲が多い。

1978年すなわち昭和53年、ガンダムすらまだ放映されていない時代にスウェーデンでこんだけヘヴィなことをやっていたアーティストはそう多くはないはず。15歳という年齢もあいまってイングヴェイの言うとおり現地では「相当な変わり者」として見られていたんだろうなあと思う。ヴォーカルナシのインスト曲を9曲収録したこのアルバムは、天才イングヴェイ・マルムスティーンの貴重な黎明期を知ることができると資料であると同時に、スウェーデンのヘヴィロックのルーツとしても非常に価値のある作品である。

なーんてスウェーデンのヘヴィロックに詳しくないのに勝手にそっちに話を広げちゃいました!いやでもイングヴェイの歴代の作品の中でも一番ヘヴィなアルバムって感じがするよこれ。

投稿者 trouble : 20:11 | コメント (23)

2008年08月15日

ANTHRAX at クラブチッタ川崎

ANTHRAX行ってきました。ANTHRAXて四天王の中では一番好きなんだども、一番存在感が薄いっつー感じがしないでもない。いつ自然消滅してても不思議じゃないというか。だから会場もガラガラだったりして、とか思ってたんだけど8割9割入ってました。開演前に黒崎先生から「上で見ない?」と誘いを受けるも俺は業界人じゃねえ!下で暴れて、ストリートの息吹を感じたいんだ!と反骨精神を発揮して汗にまみれてみました。嘘。また是非誘ってください。俺も座ってダラダラ観たかった。

前座のCOCOBATの演奏がなかなかカッコよかっただけあって多少演奏のイマイチっぷりが際立ったり(特に最近の曲)、前半と後半でベラドナ期ブッシュ期をくっきり分けてたりしたのはちょっとどうかと思うけど、四天王の中ではやっぱANTHRAXのライブが一番楽しい。演奏イマイチっつってもMETALLICAやMEGADETHみたいに酷いわけじゃないし、フランクのアクションにはめちゃめちゃ煽られる。ロブ・カジアーノは前はミニラみたいだったのにすっかり髪が伸びてメタラーになってました。Safe Homeで入魂のギターソロが聴けてよかった。

昔の曲と今の曲のテンションの違いを一番感じないのもANTHRAX。まあこのへんはこないだのアルバムも大好きな俺の好みであって、会場はやっぱ昔の曲の方が圧倒的に盛り上がってたけど。そりゃそうか。で、来年出るアルバムからの新曲は意図的に当時のスラッシュサウンドをディフォルメしてるパートとブッシュ以降の歌メロを組み合わせてて構成的にはアリだと思うけど、魅力はあまり感じず・・・という黒崎センセと同じ意見。新ヴォーカルは、ブッシュとベラドナ両方そつなくこなします、て感じで強烈な個性はないしまだまだステージ上での貫禄に欠けるけど、特に不満も感じなかったです。

Inside Out、Nobody Knows Anythingはもちろん、Bring The Noiseは聞きたかった!って意見はあまり無さげ。本格的にANTHRAX好きになったのはATTACK OF THE KILLER B'sからっつー邪道であります。Among The LivingはI Am The Lawとすげー似てる気がしててどっちとも実はあんま好きじゃない。ベラドナ期ではPanicが聞きたかったなあとか言うとちょっとタッキーっぽいかしら。Panicのギターソロはネオクラだぜ!

投稿者 trouble : 22:55 | コメント (4)