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2006年07月28日

Fuji Rock Festival '06 初日

一夜明けてついに本番のフジロック初日。湯沢の天気予報は昨日の夜の時点で初日曇のち雨(降水確率70%)、二日目雨(90%)、三日目曇時々雨(40%)、というかーなーりー悪い予報。なんかここ数年すっきり晴れるってことがないなあ。まあんなこと言ってても始まらないのでいつものようにカッパに防水スプレーをタップリ吹きかけて出発。

入り口でパチリ。受けをとりたいのかどうしたいのか自分でも決めかねたままの中途半端な一枚です。

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まずは昨日の前夜祭で盛り上がったFLOGGING MOLLY。いやほんとはTHE STRING CHEESE INCIDENT観たかったけどダラダラしてたら間に合いませんでした。そういやグリーンの最初にハリウッドの有名俳優が出るとか前夜祭で言ってたけど、どうやらオーランド・ブルームだったらしい。あと新スーパーマンのヒロイン。まあどうでもいいか。

FLOGGING MOLLYはグリーンでわいわいやったら楽しいだろうなあと思ってたけれど、だだっ広いところでやったらさらに楽しい。陽性でアルコールの香り漂うサウンドは外でパーになって楽しむにはもってこい。個人的にはもっとビートがガッツンガッツン来てくれたらと思うけど、メロのアップダウンがリズムとなって肉体にもアピールしてくるので十分か。デイヴはなんか黒ずくめにメガネ、ずんぐりむっくりってことでどこかエルヴィス・コステロを髣髴とさせるおっさん。でも煽りがなんか超メタルっぽいんでやんの。

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左の子どもは大人になってこのときのことを覚えてるのでしょうか。とりあえずしょっぱなからすげー楽しくて、俄然テンションもあがってくる。やっぱ知らないバンドに対して斜に構えずに楽しもうと思えるのは環境のなせる業なんだろうなあ。宗教じみた能天気さと言われようと、「楽しめるバンドが増える」っていうのは絶対いいわけで、こういう風に音楽に対してのガードが下がることができる場があるってのは素晴らしいことだと思う。「客観的な視点を持って評論して(るつもりで)その音楽を好きな人をバカにする」ことが楽しいってのもわからないでもないけどそういうエネルギーの使い方は俺としてはもったいないと思ってしまうので今のまんまでいいです。うぉっと思わずこれぞ良識派気取りなアジテーションもどきを書いてしまいました。みんな死ね!音楽聴いて喜んでねーで我に返って仕事しろ!!オレンジレンジをこきおろせ!!

その後タラタラした後に、これまた前夜祭で(負の意味で)盛り上がったTHE COOPER TEMPLE CLAUSE。今になって冷静に考えれば絶対加藤登紀子を観に行ったほうが良かったってのがわかるんだけど、このときはまだ「いや昨日はたまたま調子が悪かっただけかもしれない・・・」と妙に希望的な感覚で始まるのを待ってた気がする。

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じゃあ実際今日のライブはどうだったのか。昨日と同じく10月に発売される新作からの曲をがんがんやってた。まず1曲目にいきなり披露されたHeadっていう曲はシンプルなリズムの上にややニューウェーヴィなキーボードとギターが乗る。ヴォーカルが挑戦的な声色で反復の多いメロディーを歌う。決して悪い曲ではないのかもしれないけれどオープニングを飾るにはあまりにもインパクトの弱い曲。Been Training Dogをはさんでまた新曲のConnect。ややレトロなテクノポップというかニューロマンティック路線というか。新作は爆発を抑えた肩パット入りスーツ&フェミニンメイク路線になるんだろうか。今までのTCTCとはかなりイメージの違う曲・・・だと思う。客はかなり虚を突かれた感じでどこで盛り上がっていいのかもわからず傍観姿勢。しかも次はBlind Pilot。悪い曲じゃねーけど野外の昼間、しかも新曲後にやる曲じゃねーっつーかなんつーか。さらに追い討ちをかけるようにTalking to A Brick Wallが続く。意地でも盛り上げないぜ!という気合すら感じられる流れだな。いや盛り上がりってのはアップテンポかスローテンポかだけで決まるもんじゃねーけど彼らの演奏はそれだけで客を巻き込めるものではないんだよな。ヴォーカルはあまり動かないけれどその分声色が攻撃的だったり、「かかってこいやコルァ」的な挑発的視線を終始放ち、それなりに存在感はあった。けどこの流れだとかかっていく気にもならん。そういやヴォーカルのファッションの雰囲気がずいぶん変わったな。

その後はA.I.M.をはさんでガレージバンドに影響を受けたと思しき新曲Damage(こういうのやりそうな服になってるもんな)とFilm Maker、さらにまだやるか新曲Homo Sapiensというアップテンポな曲が続けられたけどちょっともう盛り上がることもできず、結局最後まで俺はボヘーっと観るしかありませんでした。Homoはかなりへヴィなギターリフが前面に出てぱっと聞きかなりかっこよくはあったのできちんとアルバムで聞くとよく聞こえるかも。でも結局ラスト2曲、Promise, PromiseとPantzer Attackでの「一人足りないことによる音の物足りなさ」が痛感される演奏を聞かされ(というかこのバンドってベースのグルーヴが圧倒的に不足してんだよな)、秋に出る新作への不安と、加藤登紀子に行けばよかったというしつこい後悔のみが残るビミョーな感想しか残らなかった。

その後はしばらく観たいのもないのでお散歩に。ところ天国で天国バーガー食ったりマッタリ。去年食べたモカロック(アイスココアの上にアイスクリーム)を食べようと思ったんだけど今年は無くてガッカリ。ちなみに河原にはすでに死体がゴロゴロ転がっています。はえーなおい。

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で、去年との違いは川のとこに緑だの青だの黄色だの色の塗られた石が置いてあって、キャーなにあれーカワイー、と女子には好評。なんか自然を汚してるんじゃ?という気もしますが自然環境を大切にしながらも、こういうことしちゃうのがやはりロック魂なのでしょう。

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こういうのを叩き割ってゲラゲラ指差して笑うような人があまりいないのがフジロックの残念なところ。その後フィールド・オブ・ヘヴンとかまで散歩して、さてグリーンに戻るか、ということになったんですが、今年は去年作りかけだったWhiteとGreenを結ぶボード・ウォークが完成していてすげー楽だった。去年は途中までは出来てたんだけどいきなり道がなくなって遭難しそうな勢いなとこ歩かされたんだけど今回は楽チン。途中の川もまた晴れていれば気持ちよさげ。

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今日はちょっともう冷えてきたからか川から湯気が上がってて非常に幻想的でキレイでした。なーんてノンキに散歩してたらROGER JOSEPH MANNING Jr.に遅刻しそうになり、急いでRED MARQUEEへ。元JERRYFISH、元IMPERIAL DRUGっていう肩書きは知っててもソロアルバムは聞いたことなかったりして。

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ロジャーはなんかちっこくて細くて小室哲哉を彷彿とさせるルックス。このバンドでのライブは今日が初めてってことだったけど、そんなことをまったく感じさせない素晴らしい演奏でした。1曲目はQUEENのFat Bottom Girlでいきなり盛り上がったんだけどその後も巧みなキーボードさばきと躍動感あふれる演奏をバックにポップ職人の肩書きにふさわしいキュートな曲を連発。声はちょっと郷ひろみ似。オリジナル曲にFLEETWOOD MACKのカバーもはさみつつ、ラストはELTON JOHNのFuneral For Friend~Love Lies Bleeding。この曲、DREAM THEATERがカバーしてたこともあって、プログレっつイメージなんだよな。それはとにかく、これまた素晴らしい演奏でした。いや職人だわ。ただ、ほんと職人として腕がたつあまり、ぱっと聞き直球ポップソングなんだけどどうもメロがぐっとこないというか、ときにメロディーがひねられすぎてる印象もあった。そこで無理やり転調せんですんなりメロ進んでってくれたらら超ツボなのに!みたいなさ。それじゃコテコテすぎてイカンのかな。コテコテファンとしてイキそうでイケないもどかしさがちょっとあったりした。いやまあでも十分楽しめたんだけど。お客さんもかなり盛り上がってました。いいライブだったな。

その後はJETをダラダラ観ながらゴハンタイム。

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夏野菜のトマト煮込み冷パスタとクィーンシーバのなんたらプレート。ぶっちゃけコストパフォーマンスはかなり悪いんだけどそれなりにうまい。こういう漬け込みチキンとかって好きだな。

JETはAre You Gonna Be My Girl(だっけ?)だけ全速力で突っ込んでいく若者が多くて笑えた。んー、悪くねーけどふっつーのロックンロールだよなあ。これ観るなら俺はSHARK ISLANDとかが観たいよ。こんぐらいの時間になるとすっかり寒く、パーカー着込んでゴロゴロ昼寝をしつつFRANTZ FERDINANDを待つ。ホントは観る気なかったんだけど、俺がフジロック行くってことを知った女子高生に「あたしフランツのファンなんですぅ!フジいいなあ!フランツ観るんでしょぉ?」とキラキラ笑顔で覗き込まれて思わず「う、うん、観てくるよ」と笑顔で返してしまったのでガマンして観てやることにした。

先ほど「音楽に対してのガードが下がることができる場があるってのは素晴らしい」とか言いつつ、やっぱHARD TO EXPLAIN関係のバンドに対してはガードを下げることができない僕でした。確かに親しみやすい曲は盛り上がるのは当然、だと思うんだけどどうもそこにあるスノビズムというかが鼻につく。ジャキジャキしたギターがリズムを引っ張っててそれは気持ちいいんだけどドラムのビートにもうひとつパンチがないというか、その辺はアンチHard To Explainとかそういうのと関係なく気になった。中盤以降は立ったまま寝てる感じでしたよはい。

でもその女子高生に会ったら「楽しかった」って言うさ。

そんな感じの初日。アタマのFLOGGING MOLLYが楽しすぎたのに対してTCTCがダメダメだったりフランツは所詮フランツだったので尻すぼみな印象だけど、こうして振り返るとROGER JOSEPH MANNING Jr.は良かったし来る前は「初日はどうでもいい」って言ってた割に楽しめたかな。心配してた雨もなぜか降ることなく、宿に帰って天気予報を観たら29日の予報も「雨のち曇」みたいになってるし、こりゃ梅雨明け前だけど結構持ちこたえるんじゃね?という希望を感じつつ一瞬で眠りに落ちました。

投稿者 trouble : 23:20 | コメント (9) | トラックバック

2006年07月27日

Fuji Rock Festival '06 出発&前夜祭

とりあえず今年の目標は、「財布を落とさない」ということだったんですが見事に達成されました。以上。

ってことで特にネタらしいネタもないし無理やり旅行記みたいにするやる気もないので今回はいきなり前夜祭です。梅雨明け前なので天気だけが心配だったんだけどとりあえず今日は曇ってはいるけれど雨は降ってなくて一安心。後ろを歩いてるヤングメンがこの前夜祭のことを話していて「なんか去年は前夜祭だけで1万人来てたらしいよ」って言ってた。マジかー。確かに人の多さはハンパない。オアシスエリアだけでおそらくウドー・ミュージック・フェスティヴァルの2日合計の動員数を軽く超えてそうな感じ。

そんな大人数が「フェスだから」という理由だけで浮かれて普段はまったく興味ないであろう盆踊りに興じている様を見て「ケッ」とつぶやく素直になりきれない僕は、やっぱりメタルの魂を持った人なのです。被害者意識と帰属欲求、誰にも負けません!

そんな浮かれ民族の間を縫って、まずはRED MARQUEEで行われるライブのタイムテーブルをチェック。

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おお、FLOGGING MOLLYとTHE COOPER TEMPLE CLAUSEが出る!少年ナイフもだ!(あんま興味ないけど言ってみる)そして「ビフテキ大食い大会」ってなんだ。まあいったんそれは流しておいて、みんなが浮かれている間に食べ物を調達して食べちまおう、とまずはマハッタのカレーとケバブを食べる。そして食べてから気づく。「あ、マハッタのカレーもケバブも去年食べて全然おいしいと思わなかったじゃん」と。なんで食べちゃったんだろ、とやや後悔。でもまあいいや。

食べ終わったらちょうどフロモリの時間になったので開演を待つ。最初に日高代表が出てきて挨拶。それだけですでに盛り上がってる会場。そして彼に紹介されてFLOGGING MOLLYが登場。彼らの音楽はお祭のオープニングにはハマりすぎでライブ開始3秒で場内が大興奮。アイリッシュのトラッドメロ満載な曲をパンキッシュなスタイルで演奏しているんだけど、わかりやすいしとにかく盛り上がる。でもこうやって聞いているとなんかこうCastle Of Paganなニオイがすんな・・・と思ってみていたら途中で女性縦笛奏者登場!あ、そうだよこれってなんつーか、普通に「速いコルピクラーニ」だよ!とすぐメタルと結び付けたがり、セットリストはバンドのリーダーであるデイヴ・キングが過去に在籍していたKATMANDUの曲を織り交ぜながらとか言うネタを書かずにはいられないのがやはり被害者意識と帰(略)

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40分間あっという間、嵐のような彼らの演奏が終わって外に出てみると、屋台で何かイベンツが催されています。屋台の上ではシェフが肉を焼いていて、その下で早食い大会が行われている!さっきタイムテーブルの上に書いてあったのはこれかあ、でもこれって大食い大会じゃなくて早食い大会じゃん、とヒネくれた心でつぶやいてみる。意外と盛り上がっていたけれど、素人がお祭ムードで調子に乗ってウケ狙いの発言をするのを生暖かく見守り、俺はそういう風には浮かれないぜと唇を噛み締める俺の姿がたまらなくイモウショナル。

で、とりあえずさっきのカレーの口直しってことでガパオかわいいよガパオでおなじみのタイ風バジル炒めゴハンを食べる。このメニューってどの店でも必ずある程度はおいしくできるメニューだよな。そして明日からは長蛇の列になる餅ブタを縁起モンとして食べる。毎年大人気だけど俺はそんなに好きじゃねーんだよな。

そうこうしている間に少年ナイフのライブも終わってDJタイムになっているらしい。次のPAINPROOF CIRCUSってなんだべな、と思って観ていたらドレスを着たおねいさんが出てきてムーディーな歌を披露。まあうまいけど普通の歌。それがしばらくするとスキンヘッドの刺青男がおねえさんに針治療の針みたいのを渡して・・・何をするかと思ったらおねえさんが自分の腕にその針を刺し始める!!最初は針みたいのを腕に立ててるだけなのかと思って近づいてよく見たら普通に皮膚貫通してるよ。左右の腕にそれぞれ5本ずつぐらい貫通させた状態で笑顔で歌っております。そうか、痛いサーカスってことか。

その痛い歌が終わると次はおねいさん脱ぎ始める。ストリップスタート。最初はドレスだったのが最終的にはTバックとフリルのついたニップレスみたいのだけに。んだよニップレスかよ、と思わずブーたれてしまいましたが、前夜祭は無料で入れて地域の子どももいっぱい観に来てるからしょうがないのかしら。いやそんなんどうでもいい、チクビを出せ乳首を。

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まあそのフリルニップレスを付けたまま胸をゆすり、フリルを回転させるのはおもろかったです。女子メタラーは扇風機ヘドバンとか言ってないで乳首にフリルをつけてそれを回転させる技を身につければライブでミュージシャンの視線を独占できるのでオススメですよ。

そんな大盛り上がりのPAINPROOF CIRCUSが終わるといよいよ次はTHE COOPER TEMPLE CLAUSE。ネットで聴けた新曲がすっげーつまんなかったのでちょっと不安。そんな不安は1曲目から的中。なんだこりゃーすっげーつまんねー。新曲はその後も何曲か披露されたものの、どれもこれもつまらなかったなあ・・・。しかもその新曲のつまらなさに引っ張られるようにBeen Training DogsやPromise, Promiseとかでさえイマイチ。一人抜けた悪影響がモロに出てんのかなあ。もともと演奏がうまいバンドではないけれど、こんなにだめだめな音だったっけ?

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ラストのPantzer Attackは前半が打ち込みをバックにトムが歌い、後半からCDのヴァージョンになだれ込む、っていうアレンジだったんだけどこれがまたビミョーで。普通にやってくれって感じでした。そんなイマイチな彼らに呆然としているうちにあっという間にライブは終了。明日はきちんと盛り上がる曲もやってくれるのかなあ。こんなつまんないんだったら加藤登紀子観に行こうかなあ・・・困ったぜ。

そんなわけでいまいちなライブを観せられてぶーぶー言いながら前夜祭は終了。

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2006年07月19日

COLDPLAY at 日本武道館

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去年のフジロックでも素晴らしいライブだったんでもう一度!と思って行ってまいりました。

開演前、アリーナのお客さんがみんなPAブースのほうを振り返って見てるんでなんだろと思ってたんだけどグウィネスがいたみたい。俺もグウィネス見たかった!

ステージ後方には幅30メートルぐらいあるスクリーンがあって、それが今回の演出の要になっている。それ以外は全体的にシンプルなセット。

そのスクリーンにカウントダウンを刻むデジタル時計が映し出されてSquare Oneでライブがスタート。2曲目のPolitikの後半の叙情パートですでにヤバイことになってた俺ですが、畳み掛けるYellowでもう顔面決壊状態です。ってフジでの流れと同じなんだけどさ。アリーナには黄色い巨大風船が大量に転がり、3曲目にしてすでにアンコールのような盛り上がり。

前回のフジではとにかく大自然のスケールの大きさとバンドサウンドの広がりが印象的だったけど、今回はバンドの持つスケールの大きさが印象的だった。とにかく武道館が小さく感じる。いやそりゃフジのグリーンより小さいけどさ、なんかこういうデカイ会場でずーっとやってきたバンド特有の格の大きさというか。

クリスはステージを右に左に(いわゆる酔っ払いの千鳥足的なアクションでひっくり返りそうでひっくり返らない)動き回り、観客にアピール。ライブ映像にエフェクトをかけたりイメージ映像を流すスクリーンでの演出を含め、照明も曲の魅力を増幅する見事な効果を生んでいた。派手じゃなくてシンプルなんだけどすごいいいのよね。

音楽に宿るイギリス的な感性・気品は健在だけれど、アメリカでブレイクして身につけたエンターテイメント性とあいまって音楽に親しみやすさが生まれたというか、フジんときのレポにも書いたけどアルバムだけだとどこかセレブ臭が強くて俺としては疎外感を勝手に感じてハマることができなかったX&Yの曲をライブで聴いて好きになれたのは、ライブだとその辺のバランスがうまくとれているからなのかな、と思ったりした。

セットリスト的にはフジにWhat IfとアコースティックでのTrouble(これ嬉しかった)が加わったぐらいで大差なく、曲間も短めで(クリスの日本語MCが軽く入るぐらい。「モットウマクニホンゴガシャベレタラナア」が一番受けてた)畳み掛けてくるので1時間半弱でライブは終了。あっという間に感じたけれど、アンコールのIn My Place、Fix Youの連発での場内の感情の昂ぶりはかなりのもので、「短かった」と不満に感じたというよりも「あっと言う間に感じた」って感じかも。いやほんといいライブだったなあ。フジんときよりさらに良かった。

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2006年07月17日

FUJI ROCK FESTIVAL '06予定

結局コツーブなメンツのまま、「○○が出る!」という盛り上がりを迎えずに期日が近づいてきているのですが、とりあえず予定を立ててみた。

28日
11:00 THE STRING CHEESE INCIDENT (Green)
12:25 FLOGGING MOLLY (Green)
14:20 THE COOPER TEMPLE CLAUSE (Green) この裏の加藤登紀子見たかった。

そのあとはATOMOSPHERE, TOMMY GUERRERODIRTY PRETTY THINGSを観ながらダラダラして、

18:20 ROGER JOSEPH MANNING JR.

JET、FRANTZは遠くで観ながら酒でも飲んでようかな。。この日は「これ観たい」がTCTCぐらいしかないからドラゴンドラとか行って遊んでこよう。

29日
11:00 WOLFMOTHER (Green)
12:50 EASTERN YOUTH (White)
13:40 ザ・キングトーンズ featuring ジミー入枝&ナンシー (Green)

っちゅーかこの時間はVALENCIAもチラ見したいしMYSTERY JETSも見てみたい。プラプラまわって観るとして、その後は

17:20 STORY OF THE YEAR (White)
18:40 JUNIOR SENIOR (Red Marquee)
19:40 電気グルーヴ (Green)
20:30 KULA SHAKER (Red Marquee)
21:30 RED HOT CHILI PEPPERS (Green)

WhiteのSCISSOR SISTERSも観に行きたいけどやっぱレッチリをとっちゃう品行方正な俺です。この日はすげー観たいわけでもないけどフェスじゃないと観ようと思わないバンドが沢山出ててすげー楽しみ。TRIBAL CIRCUSのJUNKIE XLも観たいけど起きてられなそう。

30日
この日は観たいのがかなり集中してて結構キツいです。
起きれたら(ムリだと思うけど)早めに宿を出て

10:20 GUITAR WOLF (Red Marquee)
11:00 鼓童 (Green)

を眺めてタランコタランコ歩いていって

11:30 ENVY (White)
12:50 ISIS (White)

その後気分によって
プランA
13:30 KT TUNSTALL (Green)
14:50 SNOW PATROL (Green)
16:20 JASON MRAZ (Green)
プランB
14:20 rinocerose (White)
15:50 BROKEN SOCIAL SCENE (White)
17:20 TRANSIT KINGS (White)

のどちらかで。RINOCEROSEはあの曲以外も盛り上がるんかな。そしてこっからがかなり楽しみ。

18:50 KILLING JOKE (Red Marquee)
20:30 SUPER FURRY ANIMALS (White)
22:30 MOGWAI (White)

ホワイトのMOGWAIでシメってのが超楽しみです。あー、やっぱこうやって書いてるとテンション上がってくる。メンツにピンとこないけどなんだかんだで観たいのいっぱいあるし。

投稿者 trouble : 12:36 | コメント (5) | トラックバック

2006年07月13日

2006年上半期ベスト

すでに出遅れた感がありますが、とりあえず良かったなあってアルバムをツラツラっと挙げてみます。

■ALBUMS(順不同)
The Exquisite Death Of Saxon Shore / SAXON SHORE
春先に買ったのにすっかり忘れてて、5月に「お、新作出たんだ」と買ってみたら家に同じのがあって愕然とした。若年性アルツ。「唄のないSIGUR ROS」って言われてるみたいだけど、どちらかというと「美メロに焦点をしぼったMOGWAI」のほうがしっくりわかりやすい気がする。あんまかわんないかもしれないけど、ビミョーなニュアンスを汲んでください。Burrn!のCDレビューで82点と83点のニュアンスの違いを読み取れてしまうキモメタラにはこの違いを理解してくれるハズだ。

Mr. Beast / MOGWAI
で、モグワヒ。グラスゴーメガは確かにいいんだけど、全体的にはピンと来ないというかMOGWAIが普通にMOGWAIやりました、って雰囲気でインパクトは薄かった。でもまあなんだかんだでやっぱ良く聴いてた。ライブでは新作がノッてくるのはもう少し後かな?と思わされたりしたのでフジで新曲がどんだけかっこよくなってるか確認してきます。

One Time For All Time / 65DAYSOFSTATIC
去年出たアルバムだけど日本盤出たのは今年だったので。これまたMOGWAI絡みというか、MOGWAI meets APHEX TWINなんて形容がよくなされるバンド。単純にこういうい音が好きなんです。今。MAYBESHEWILLとかさ。最初の盛り上がりに比べて意外と飽きやすいなあとも思ったんだけど、久しぶりに聞くとやっぱカッコよくてさ。サマソニとタワレコのインストアライブ、めっちゃ楽しみです。

Hosannas From The Basement Of Hell / KILLING JOKE
ドロドロとした暗黒ムードと無慈悲な反復がカッコよい。あんまりというか、まったくこのバンドの過去の作品は聞いたことないんだけど(前作だけは聴いたけどビミョーな感じだった)、この作品の世界観にはどっぷりハマりました。フジでのライブがとにかく楽しみでおます。

Songs Without Words / MOONCHILD
順不同にしてあるけれど、あえて順位つけるならこのアルバムが上半期一位です。FANTOMASのSUSPENDED ANIMATIONも含めて、最近のパットンの作品にはあまり狂気を感じなくなってきてたんですが、このアルバムではジョン・ゾーンというコンダクターの下でひたすら声で狂気を表現するパフォーマンスを聞かせてくれました。レビューでも書いたけど、ジョン・ゾーンの色が強くてそれがパットンの狂気を思いっきり活かしてる感じ。

Silver / JESU
4曲入りのEP。ハードコアを通過したポストロックというだけではなくて、マイブラあたりを髣髴とさせるノイズ美も感じさせる。これいいっすよ。

あとはなんだべな。SCAR SYMMETRY, IN FLAMES、VANDEN PLASのメタル勢の新作も良かったし、HOUSE OF LORDSの復活作も不気味なほどによかったです。あ、Warnments / TORCHBEARERYA
Distingrate / ZYKLONもカッコよかった。

他にもLEATHERWOLFの新作とかDARK EMPIREもよかったけど上半期ベスト!って挙げるほどの思い入れはないかな。NON-HUMAN LEVELも今年だっけ?

残念だったのはすげー期待していたVELVET TEENの新作、Cum Laude。前作とそれに伴うライブが素晴らしかったので楽しみにしてたんだけどあんま好きになれんかった。路線が変わったってのがまだ俺の中で馴染んでないだけなのかわかんないけど。MUSEの新作は残念ってほどじゃなかったけど前作までのアルバムと比べるとこじんまりとした感じがするというか最後まで弾けずに終わってしまったというか、今んとこピンとこないです。

あとはレッチリの新作はまあ無難だし、DISARMONIA MUNDIとTHURSDAYは新作悪くないけど前作のほうがずっとよかったなあ、ってとこでなんか同じような印象。

曲単位だとあんまパっと浮かんでこないんだけど、一番ハマったのはI Burn For You / TREATかな。ベスト盤に収録された新曲なんだけど、昔の曲にヒケを取らないどころかベスト盤の中でも一番魅力的に聞こえてしまったりもする。もう1曲の新曲Go!もよかったけど。

アルバムとしてはイマイチハマれなかったPEEPING TOMだけど、曲単位だとDon't Even TripMojoはお気に入りです。


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2006年07月05日

メタル・ヘッドバンガーズ・ジャーニー

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ずーっと放置しっぱなしだったんで、久々に。

局地的に話題のこの映画、メタル・ヘッドとしては気になる映画ですので行ってまいりました。

この映画、「メタルはなぜ忌み嫌われるのか」というテーマはおもろいんだけど、「内部の人間による考察」の悪い面が出てしまっているというか。シメなんて「メタルを聞く喜びをわからない人間には理解できまい」みたいなこと言っててさ。そういう結論にたどり着いちゃうところが嫌われる理由の一番のとこだろ、みたいな。

ロッキンオンにこの映画のレビューが載ってて鈴木喜之っつー人が述べていることを引用してみます。

「私も好きなメタル・バンドは数多くいるが、特にメタルというジャンルそのものを偏愛してはいない。一方で彼(サム・ダン)は単体のバンドのみならずジャンルとしてのヘヴィ・メタルに深く思い入れを持っている。そこでさらに他の音楽の愛好家と美妙に違うムードが生じるのは、なぜかメタル・ファンというのはコンプレックスを内在させる傾向が強いからだ。本作も「どうしてメタルは毛嫌いされるのか?」という問いかけが出発点になっている。私なりの考えを言うと、それは枠組み(様式)にこだわり、帰属する”集団”の意味合いを強調したがる特質を持つことで、自ら呼び寄せている状況ではないか、ということだ。実は彼らは『社会から(抹殺されない程度に)疎ましく思われたい』のだと思う。パンクはもっと個人主義的で、他者からどう見られるかは最重要事項ではなく、その意味ではメタラーのほうが社会との関わりを大事にしながら自己主張してるのかもしれないね」

ほんとはメタル(というかメタル・ファン)が大嫌いなんだけど、とりあえずやわらかーい物言いで言ってみました、みたいなとこがいいですね。要約すると「様式や枠組みと言った形式的なことにこだわり、集団に所属するということをアイデンティティにしたがるくせに飽くまでマジョリティではなく、マイノリティに属しているんですよと選民意識を持ちたがる人たちだから嫌われるのだ」と言いたいんだと思う。まあこれは「ロックファンがメタルを嫌う理由」であり、世間の大部分はメタルが様式にこだわるとかアタマが固いとかそういう音楽だとは知らないよな。

ただ、やはりこの強すぎる帰属欲求、ジャンルの優位性を主張したがるというのが周囲から違和感を持って見られることの大きな理由ではあると思う。

映画の中でもこの帰属欲求に触れられてはいるものの、飽くまで「ファンとしての帰属することの喜び」を感じることができる音楽だからこそメタルは素晴らしいという観点のみで、その強い帰属欲求に駆られた人がその集団に所属することをアイデンティティとして主張するときの、周囲の人々の受け取り方についてはあまり掘り下げられてはいない。

その対象となる集団が人数も多く、構成員の個々の持つ力も大きければ周囲の人々は脅威を感じるが、集団の規模が大きくなく、構成員の個々に力を感じなければ嘲笑の的になる。どちらにせよ好意的に周囲の人に受け止められることは少ないと思う。別にメタルはオウムではないけれど、疎外感が転じてある集団への強すぎる帰属欲求につながったときに醸し出されるムードには共通点があるというか。そこらへんをきちんと見ないことには「なぜメタルが嫌われるのか」というテーマを扱うことはできないと思う。

やっぱ集団の構成員がそういうのをきちんと見ることは難しいのか、それゆえこの映画のテーマである「なぜメタルは嫌われるのか」というところはまったく追求できていなかったと思う。

ただ、サム・ダンがそこに気づくチャンスは、この映画にも提示されていた。それはブラックメタルバンドへの取材時である。この取材をサム・ダンは「僕には彼らの考えが理解できない」とシメるのだが、自分達が「なぜ嫌われているのか」を追求したいのであれば、なぜ「さらに嫌われている」人たちを外から見たときの違和感を分析せずに軽く流してしまったのであろうか。立派な学者さんの研究としてはあまりにも情けない。強すぎる信念と排他性を目の当たりにしたときの人間の感じる違和感というところをもっと掘り下げて欲しかったなあ。

まあ結局「メタルっていいでしょ」的なことが言いたいだけの映画なんだよな。別にそれでもいいんだけど、メタラー以外にその魅力を訴える力はない感じ。メタラーがメタルが扱われてるから、好きなアーティストが出てるから、っていう視点で見て楽しむだけのドキュメントでした。

上に書いたようなことを踏まえた上でさらにメタルの魅力を分析する、というところまでは求めないけれど、どうせなら深い洞察力と分析力を持つ、マリリン・マンソンの意見も聞いてみたかった。

一番印象的だったのは序盤にかかったLAMB OF GODのカッコよさだなあ。あ、あとGahhl先生のGackt、もしくはYoshikiバリの貫禄だ。

投稿者 trouble : 23:51 | コメント (18) | トラックバック