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2005年02月27日

Mit Gas / TOMAHAWK (2003)

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Mit Gas / TOMAHAWK

マイク・パットンは2000年代前半、Mr. BUNGLE、FANTOMAS、TOMAHAWKと3つのプロジェクトで継続的に活動していたんだけど、しっかりと3つのバンドの色というものがあって、きちんと「それぞれのバンドならでは」の魅力を備えた納得のいく作品を作ってくれているところ。他にも色々参加しているのに決して器用貧乏になってないんだよね。そのあふれ出る創作意欲をそれぞれのプロジェクトに参加しているメンバーならではの個性とぶつけつつ(ここ重要)素晴らしい作品をリリースし続ける。いやーもう天才としか言いようが無いっていうか、けなすところが見つかりません。彼が世に出たFAITH NO MOREのTHE REAL THINGからこうしてずーっとリアルタイムで活動を追ってこれたことに感謝です。

炭酸ガス、というタイトルが付けられたこの2ndアルバムも1stと基本的な方向性というか、こういう音楽形態を用いてどのような風景を描き出そうとしているかという点に置いては前作と大きな変化はない。パットン作品にしてはストレートなハードロックだが、パットン以外のメンツが元JESUS LIZARDのDuane Denison、元MELVINSのKevin Rutmanis、元HELMETのJohn Stanierという一癖も二癖もあるメンツによって構成されていることからも伺えるように相変わらずどこか不気味でよじれを感じる淀んだ空気が漂いまくっている。1stはDuane DenisonのギターによるJESUS LIZARDっぽさというのがパットンの魅力と同じぐらい表出していたと思うんだけど、今作にはそれに加えてダイナミズムというか緩急の起伏が新たに加わっている。キャッチーさという点ではやや落ちた感はあるが、スピード感のある曲や跳ねるリズムを使った曲、さらにはブレイクビーツ的なリズムアプローチを用いた曲もあったりしてスリリングな展開が増えた。

そんな今作で印象に残っているのはまず6曲目のCapt. Midnight。ブレイクビーツ的なリズムの上に妖しく浮遊するパットンのヴォーカルが乗るこの曲には、曲の真ん中に1パートだけシリアスで叙情的、エモーショナルな部分があるんだよね。ひとしきりそのパートが終わるとまた浮遊パートに戻り、後半またその印象的なパートが出てくるのかと思いきや唐突に曲が終わってしまう。物足りなくもあるんだけど、パットンに入れ込んでる人間としては「さすが」と思ってしまうあばたもえくぼ。

あともう1曲すごく好きな曲はラストのAktion F1413。繰り返されるリズムとクリーンなトーンで怪しいコードをストロークするギターの上にパットンがコンピューターヴォイスの如き怪しい語りと浮遊する歌を乗せる前半。一瞬フェイドアウトしたかと思わせたところですべてを歪ませた阿鼻叫喚の世界が爆発する。その曲が終わって10数秒待つと、怪しげなギターの上に隣の部屋の人のうめき声のような不気味なパットンの歌(声)が乗った曲が始まり、そのままアルバムが幕を閉じる。これこそパットニズムだよなあ、と思わず汗をかいてしまいます。

投稿者 trouble : 20:28 | コメント (25) | トラックバック

Millennium Monsterwork / FANTOMAS & MELVINS BIGBAND (2002)

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Millennium Monsterwork / FANTOMAS & MELVINS BIG BAND

2000年の12月31日、サンフランシスコのSlim'sで収録されたライブアルバム。タイトルからもわかるかもしれないけどFANTOMASとMELVINSが一つのBIG BANDに融合し、それぞれの曲をプレイするというなんとも贅沢っつーか夢のようなイベント。と言いつつMELVINSはCRYBABYとビアフラメルヴィンズしかCDで持ってないんです。

そんなわけでMELVINSの曲がFANTOMASによってどう原曲の雰囲気に変化を加えられているのかとか全然わかんないんですが、とーにーかーくーかっちょよい!!音自体はパットンの好みなのかFANTOMASのアルバムと同じようなどこかこもった丸い音像で好き嫌いは分かれるかもしれないけど、ギター×2、ベース×2、ドラム×2で音の圧力は抜群。ドラムとベースが二人いるからなのかカチっとした感じはないんだけど、重い重い。
MELVINSの曲でのヴォーカルはバゾも歌ってるんだけどほとんどパットン。元の歌メロ以外にも絶叫とかヴォカリゼーションを入れたりするんだけどパットンが歌ったり合いの手みたいな絶叫が入れることでMELVINSの曲のキャッチー度が格段に上がってる気がする。いや元々Night GoatもThe Bitもキャッチーだとは思うんだけど元曲のカッコよさにさらなるフックが増えたって感じで。まあ細かいことはともかく、かっこいいんすよ。MELVINSの暗黒重量感とは逆方向に突き抜けた感じのパットン狂気が加わったせいで音楽そのものが双極のカッコよさを纏った感じ。

FANTOMASのなんたるかもわかるしMELVINSのかっこよさも同時に味わえてお得なので、FANTOMAS入門編として買ってみてもいいかもしんない。いや買え。

残念なのは収録時間が40分強しかないってとこ。おそらくライブは70分ぐらいだったと思うのでフル収録してほしかった。

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Tomahawk / TOMAHAWK (2001)

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Tomahawk / TOMAHAWK

Mr.BUNGLEとFANTOMASでアルバム制作&ツアーと精力的に活動していたパットンがさらに新バンドを結成。メンバーは元JESUS LIZARDのDuane Denison、元MELVINSのKevin Rutmanis、元HELMET、現BATTLESのJohn Stanierという豪華オルタナ人脈。

並行して活動していたBUNGLEとFANTOMASがある意味両極端で派手な音楽性だったのに対し、このTOMAHAWKは後期FAITH NO MOREにJESUS LIZARDテイストをまぶしたようなやや地味目な作風。しかしながら地味=つまらないというわけではなく、このオルタナティブ人脈の持ち味を存分に活かしたさすがの作品。楽曲的にはFAITH NOMORE以降のパットン作品の中ではもっとも普遍的なロック形態をとっているんですが、参加しているメンツがメンツですからなーんか不気味なムードが全編を通して感じられる。そしてそこにまぶされているマイク・パットンならではの性格の悪さっつーかシニカルさっつーかが痛快。うわあこんなの聞いてる俺もきっと性格悪いんだろうな!とか言う妙な選民意識が満たされます。

とか言いながら正直最初はやっぱその地味っぷりに肩透かしを食らったりもしたんだけど。聞き込むごとにその地味の隙間から沁み出す歪み汁に体と心が侵食されていくような、スルメスメルな作品です。

投稿者 trouble : 20:20 | コメント (1) | トラックバック

Direcrotr's Cut / FANTOMAS (2001)

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The Director's Cut / FANTOMAS

1stアルバムがFANTOMASのスタイルってのはこういう感じだぜ!的な作品だったと思うんだけど、今作はそのFANTOMASスタイルでこんなこともできちゃうぜ!という応用編的アルバム。料理の材料は映画音楽。というわけで映画のサントラのカヴァー集です。

当初はフラッシュダンスのWhat A Feelingも収録予定だったみたいですが、早々に消えたみたい。うあー、聴きたかったなあー。まあそれはしょうがないとして、このアルバムはカヴァー集と言っても、上に書いたように完全にFANTOMASのスタイル。すげーよマジで。1曲目のGodfatherからして物悲しいメロディオン(だっけ?)から一気に爆発してパットンが絶叫し、バンドが疾走しまくるというまさにFANTOMAS。実のところ全部の曲を原曲と聞き比べているわけではないので偉そうな事は言えないのですが、すべてのアレンジはパットンによって手がけられており、1stで提示されていた静と動のコントラスト、不気味さを演出するモンドちっくなアレンジと音色、楽器の使い方、そして有無を言わさぬ圧倒的な爆発力、っていうFANTOMASスタイルのカッコ良さに、元曲に備わってる魅力的なメロディーってのが伴ってしまって筆舌に尽くし難い半端じゃないカッコ良さになってしまっています。原曲が持つ普遍的な魅力もあいまって普段アヴァンギャルドな音楽に慣れていない俺みたいなリスナーにもわかりやすくてグー。

今作ではパットンの「音」だけではなく「歌」も楽しめる。表現力の凄まじさは相変わらずで、その歌唱力にはほれぼれしてしまう。勿論絶叫や音なんかでもパットンらしさが存分に味わえるわけですが、やっぱ歌好きだもんな、俺。

俺のお気に入りは、静と動のコントラスト、そして物悲しいメロディーが素晴らしいThe Godfather、ヘヴィかつ神秘的なCape Fear、パットンの妖しい声とドラマチックなメロディー、展開が胸を打つRosemary's Baby、パットンの芝居がかった語りと機械的なサウンドがカッコ良いSpider Baby、来日公演でも披露されていたゴシックホラー的な荘厳さとFANTOMAS的な爆裂の対比がたまらないThe Omen、サビた有刺鉄線のようなバゾのギターとパットンの熱唱(?)にやられてしまうHenry:Portrait Of A Serial Killer、へんちくりんだけど妙な哀愁が漂っているVendetta等々。ラストのCharadeもパットンのヴォカリゼーションと歌、そしてドラマチックな演奏が楽しめるし、もうアルバム通して大好き。

聴きやすさと前衛的なカッコ良さが絶妙のブレンドで溶け合った逸品。

投稿者 trouble : 19:41 | コメント (4) | トラックバック

California / Mr. BUNGLE (2000)

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California / Mr. BUNGLE

ああ、やられました。思いっきり「歌モノ」です。この裏切り方はさすがとしか言いようがないっす。この作品がリリースされる前に出たFANTOMASのアルバムが歌の一切ない声のパットン作品だったけにMr. BUNGLEでどんなのを出してくるかと思ってたんですが、まさかこんなわかりやすいアルバム作ってくるとは、とビックリ&脱力。

勿論「歌モノ」と言っても普通のバンドみたいになったわけでもないです。タイトル通りのウェストコーストビーチでのんびりトロピカルドリンクって感じのムードがそこかしこにあふれているんですが、急にメロディー展開が怪しい雰囲気全開になったり変態ムードで突っ走ったりMr.BUNGLEらしさが織り込まれてる。壮大なバラードも、エンディングはいきなり「ピーーーー!!!!」でぶつ切りになってたりするし、らしさは満載です。前作が前衛タイプでパットンも「歌」よりも「音」重視って感じだったのが今回はまったく逆。パットン朗々と唄いまくり。

各曲それぞれコンパクトな作りで、聴きやすすぎる事この上ナシ。Retrovertigo、Pink Cigaretteと言った曲はベタで美しいバラード。パットンの朗々と歌い上げるヴォーカルがたまりません。不穏なロカビリームードとBUNGLE風味が絶妙なNone Of Them Knew They Were Robotsは名曲だし、のってけサーフィンなトロピカルムードがやはりBUNGLE流にアレンジされているThe Air-Conditioned NightmareもBEACH BOYSだとかVENTURESのようなパートにMr. BUNGLEらしい不気味なコード進行、メロディーが絡むかっこいい曲。変態オリエンタルなムード&フラメンコ&サーフィンな感じが漂うArs Moriendi、ケチャを取り入れたチベット密教の寺院をほうふつとさせるGoodbye Soberdayあたりもたまりません。

今回も相変わらずありとあらゆる音楽性が織り込まれているんだけど、とにかくその展開がすごくわかりやすいってのが特徴。同時期にFANTOMASの1STを制作していて、そちらは歌よりも音重視、曲もぶつぎりな感じだっただけに、その反動でCALIFORNIAが歌モノ中心になったのかも。

前作の奥深さとは一転してわかりやすさを打ち出してきた今作もやはり名作。BUNGLEの最初はこれをオススメします。

投稿者 trouble : 17:50 | コメント (356) | トラックバック

Fantomas / FANTOMAS (1999)

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Fantomas / FANTOMAS

1998年のポルトガルでのライブを最後に解散したFAITH NO MOREの後、すぐに行動を開始したマイク・パットン。早速新バンド結成!ということで報じられたのがFANTOMAS。で、メンバー観てビックリ。ギターにMELVINSのバズ!ベースにMr. BUNGLEのトレヴァー!極めつけがドラムに元SLAYERのデイヴ・ロンバード!この年の7月ぐらいからはライブ活動を始めており、ほぼこの1stを完全再現していたようです。このアルバムが発売されたのは1999年4月だから録音はツアーの後なのかな?ちなみに「MELVINSのバズ!」とか興奮したフリしましたが、当時は「カート・コバーンの師匠らしい」ってことぐらいしか知らない人でした。

また、このアルバムはパットン自身のレーベル、IPECAC RECORDINGSから発売された記念すべき第一作。パットンの活動の広がりに拍車がかかります。

買ってきてワクワクしながらCDプレイヤーで聞いたものの、最初は「やべ、わかんねーパットンモードだ」って思った。当時すでにパットンは2枚のソロアルバムをリリースしていたんですが、それらは俺にはアヴァンギャル度があまりに高く、わけわからんで終わってました。このアルバムも基本的に「曲」「歌」はないし、「きっついなこれ」って思ったの覚えてます。結局リリース後しばらく聞いたんだけどよくわからないまま奇跡的に実現した来日に2回足を運び、そこで始めてこのアルバムの音楽の凄さに打ちのめされてアルバムも聞けるようになったって感じ。

次から次へとめまぐるしく場面が変わり、アングラ臭漂う破壊的なパートと不穏で不気味でモンドなパートが入り乱れて展開する。パットンは「歌」ではなく、ソロアルバムに近いアプローチで飽くまで「音」を絞り出す。叫んだり囁いたりうめいたり泣いたりわめいたりスッ転んだり空飛んだり。

とにかく複雑でわけわからんこのアルバムの音楽は、パットン1人によって細かく緻密に組み立てられたものらしい。それをデイヴ、バゾ、トレヴァーのそれぞれの持ち味を存分に活かしながら形あるものに仕上げていったという感じ。パットンが音楽的には主導を握っていながらも、各人の個性が色濃く出ており、1STアルバムで「これがFANTOMASのスタイルだ」と言うのがはっきりと提示されている。

ライブでも全曲ではないものの完全再現に近い形で演奏していたが、アルバムと違ったのはその緊張感の凄まじさ。確かに緻密に組み立てられてはいるのかもしれないが、ライブではそれがまるで完全に即興であるかのような緊張感を持って演奏される。家でCD聴くのはつらいな、と思っていた俺もライブを観て目からウロコ、鼻からエラ呼吸。ヨダレを飛び散らし、目をむいて絶叫するパットンの鬼気迫るパフォーマンスと、ライブならではの緊張感で爆裂ドラムをたたき出すデイヴ。いやーカッコ良かったっす。

投稿者 trouble : 17:30 | コメント (0) | トラックバック

Album Of The Year / FAITH NO MORE (1997)

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Album of the Year / FAITH NO MORE

前作完成後、トレイ・スプルアンスはツアーに出ることを拒み、後任にはもとDUHのディーン・メンタ(Dean Menta)が加入。しかし結局このディーンともツアーはこなしたが曲は一緒に書けず、またもや脱退。後任にジョン・ハドソン(John Hudson)を迎える。「俺たちはギタリストとは合わないのさ」と自嘲的なジョークをかましていた彼らだが、対ギタリストというだけではなく、バンド全体の雰囲気もあまり良くなかったようだ。パットンは後に他メンバーがこのアルバムのために書いてきた曲を「クソだと思った」と発言したりしており、すでにこのバンドから心が離れかけていたことが伺える。

というわけで悲しいことに彼らのラストアルバムになってしまった6th。上記したようにあまり良い環境で制作されたとは思えないが、内容自体は彼ららしいシニカルなアルバムタイトルに負けずに充実している。

例によって前作とは違った雰囲気を纏っており、前作にあったコア的な部分がやや減退、「粘り気のある美しいメロディー」を前面に押し出している感がある。動で狂気を発散し、カタルシスを得るのではなく、静謐な世界の中でだからこそ感じられる歪んだ狂気を表現した味わい深い曲が多い。

そのような「静の狂気」は、トリップホップ的なアプローチにパットンならではのポップで美しいメロ、エンディング間際のドラマチックな展開を織り込んだ名曲Stripsearch、絶望によって引き起こされた諦観にまとわりつく狂気のようなHelpless、洞窟の奥深くで蠢く醜く愚鈍な生物のようなPaths Of Glory、終末思想的なPristinaあたりで特に放出されている。これらの曲での静かな雰囲気から漏れ出る歪んだ空気は本当に凄まじい。

勿論それ以外の曲も魅力的。拡散性はやや薄れ、意外と統一された作風に感じるこのアルバムだが、やはり1曲1曲が深みを持っている。オープニングを飾るCollisionは静と動のコントラストがカッコよく、Last Cup Of Sorrow、Ashes To Ashesは粘りのある美しいメロディの裏にある彼等独特の不穏なムードが印象的な名曲だ。よじれたポップソングMouth To Mouthといった曲も独特の魅力を持っている。

FAITH NO MOREのアルバムで一番メロディアスなアルバム。一番地味なアルバムでもあるかもしれないけれど、その味わい深さには一片の翳りも見られない。やっぱり素晴らしいです。名盤(FNMは4th以降全部名盤)。買おう。

投稿者 trouble : 17:07 | コメント (3) | トラックバック

Disco Volante / Mr. BUNGLE

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Disco Volante / Mr. BUNGLE

FAITH NO MOREとしてツアーしているさなかにリリースされた2ndアルバム。どういうペースでレコーディングしたりしてたのかさっぱり知らないんだけど、ビッグなバンドに在籍しながらも自分の創作活動を自由奔放にくりひろげてくパットン先生です。ってこのアルバムを音楽的に引っ張ってるのはトレヴァー・ダン(ベース)とトレイ・スプルアンス(ギター)の二人みたい。このアルバム聴くと二人の凄さがわかるぜー。

1stと比べるとわかりやすいミクスチャーロック的な要素が減退して、ちょっとアヴァンギャルド系の色合いが強まった。パットンのヴォーカルも、歌だけではなく、さらに発展させて「声」を使った表現の面白さを追求しているような印象。気狂いサーカスで変態ピエロ大暴れ!な感じも随分弱まっているので一聴する限りやや地味な感じがするんだけど今作のキモはまさにその落ち着いた中に見せる狂気。もちろんはっちゃけてドコドコグジャグジャやってるとこも多いんだけど、それ以外のパートでの静かな中で感じられる不穏さ、不気味さ、緊張感みたいのが随分と魅力的。その不穏な予感どおり徐々に世界が崩壊していくような展開もあってすげーいい。1stはやんちゃな子どもっぽい雰囲気もあったんだけど今作はぐっと落ち着いたアダルトな変態ムード。正装の紳士にみえて、実はチャックが開いててチンポ出てますよ、みたいな。アコーディオンやキーボードのアナログな音色選びが妖しくモンドなムード醸し出していてかっこいい。

俺としては全パットン作品の中でもベスト3に入るほど好きな作品です。アヴァンギャルドで激しいパートからパットンの「つっつっつー」というムーディーなスキャット(?)、おじいちゃんの切ない歌、モンドなキーボードに乗った素っ頓狂なポップメロディーへと移り変わっていくCarry Stress In The Jaw、テクノとエキゾチックな民族音楽にBUNGLE的変態センスが加わったDesert Search For Techno Allah、ノスタルジックなアコーディオン、キーボードサウンドによるムーディーな曲にイタリア語の発音フェチにはたまらないツバが飛んできそうな語りが乗るViolenza Domesticaと言った曲が並ぶ前半は特にたまりません。後半は正直アヴァンギャル度がかなり高まってついていけないパートのほうが多かったりもするんですが、ラストに収録されたMerry Go Bye Byeはウェストコースト風のすっとぼけたポップソングから一転してデスメタルになるという超名曲。

アートワークもいいよね。名盤です。

投稿者 trouble : 16:34 | コメント (5) | トラックバック

King For A Day, Fool For A Lifetime / FAITH NO MORE (1995)

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King for a Day, Fool for a Lifetime / FAITH NO MORE

前作の制作中からこじれたジムと4人の仲はツアーに出た後も悪化の一途を辿る。ジムのギターソロを他メンバーが邪魔をしたり、完全に「いじめ」の状態である。そんな状態でよくツアーを終えることができたなという感じだが、結局ツアー終了後にジムは脱退。後任にMr. BUNGLEのトレイ・スプルアンスを迎え、アルバムの制作に入る。

「新作は醜さを伴ったヘヴィなものになる」という発売前のビルのインタビューでの発言通り、コンパクトにまとまってはいるがヘヴィかつアグレッシヴ。前作のゴージャスな部分はストレートでハードコア、シンプルでコンパクトに置き換えられた。キーボードも少ないが、これは当時ロディがプライベートで問題を抱えており、あまりアルバム制作に関われなかったと言うことも大きいらしい。ということで削られたもの無くなったものが多いアルバムである。しかしそれが魅力の減退という意味ではまったくないところがさすがである。

装飾が減ったということと相反して音楽的な拡散、深化(この2語が並列できるところがすごい)は留まるところを知らず、各曲がFAITH NO MORE印に彩られながらも独立した魅力を放っている。

Evidence, Caralho Voador, Take This Bottleのようなスローかつムーディーな曲をセクシーで怪しく不穏にカッコ良く決めたかと思えばDigging The Grave, The Gentle Art Of Making Enemies, Get Out, What A Dayのようなキャッチーなハードコアチューンで圧倒的なカタルシスを放出。Ricochetではコアっぽいんだけど叙情的…みたいな不思議な雰囲気が味わえるし、パットンが朗々と歌い上げるJust A Manではゴスペルコーラスまでもフューチャー。バリバリにホーンをフューチャーしたファンキーチューンStar A.D.もたまらなくカッコイイし、Cuckoo For Caca, Ugly In The MourningではKORN以降のヘヴィロックの雛形とも言える醜いヘヴィネスを体現している。実際Ugly In The Mourningの後半ではジョナサン・デイヴィス顔負けのあのうなりが聴けたりして。そしてこれらすべての楽曲のクォリティーは、当たり前のように、鬼のように、高い。

FAITH NO MOREはジム・マーティンが脱退して終わった、みたいなことを言う人がいるけれど、それは多分メタル的な要素が減退したことへの寂しさからそう感じてしまうんだろう。でも、メタル的要素はなくなっても、他のカッコ良さがどんどん曲にとりこまれていて、それはパワーダウンじゃなくて俺にとってはパワーアップなんだよね。これもやっぱすげーアルバム。

投稿者 trouble : 16:21 | コメント (4) | トラックバック

Angel Dust / FAITH NO MORE (1992)

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Angel Dust / FAITH NO MORE

大ヒットアルバムの次というプレッシャーがかかる中で制作された4thアルバム。Mr. BUNGLEもレコーディング・ツアーを行っていながらきちんとこちらも仕上げていたっていうのは驚き。現在のパットンのワーカホリックぶりはこの頃もしっかりと発揮されていたってことかな。

FAITH NO MOREファンの中ではこのアルバムを最高傑作とする人も多い。前作をはるかにしのぐ雑食ぶりを見せながらも、それぞれがFAITH NO MOREとしての個性を猛烈に主張しており、大ヒット作品の後のプレッシャーはまったく感じられない。ギターは相変わらずガリガリとしたリフを刻むことでメタルを主張しているが、音は小さく前作ほど前面に押し出されていない。これはジムと他の4人との確執が表面化してきたことの表れでもあり、それ故ヘヴィネスが足りないと感じたりもするのだが音楽的にこれだけの説得力を持つ作品を前にしてはそれも些末なことだ。ギターが後ろに下がった分今回はキーボードの装飾がシンフォニックと言えるほど増えており、十二分に補っている。メロディーはさらなる冴えをみせ、彼らの専売特許である「キャッチーなヨジレポップソング」のオンパレード。コンパクトにまとめあげられた各曲のクォリティーは本当に高い。捨て曲なし、素晴らしいアルバム。最高でーす。

Midlife Crisis, A Small Victoryのようなほんとにポップでキャッチーな曲もあればCaffeinのようにヘヴィーにうねる曲もあり、のんきで素っ頓狂な裏にとんでもない妄想がうずまいているようなRV、パットンがMr. BUNGLEから持ち込んだアヴァンギャルドな側面を打ち出したMalpractice, Kindergartenのような曲、さらにコモドアーズのカヴァーであるEasyと鬼のようにバラエティに富んでいながらもそれぞれが違和感なくこのアルバムに収まってしまっているというのがすごい。

豪華な遊園地のような華々しさと、どこかのネジ狂不ったような穏さが絶妙なバランスで。めっちゃカラフルで楽しいんだけど、その裏には猛烈な狂気と恐怖がうずまいている。マイクのヴォーカルは前作とは打って変わって現在に近いオペラティックな歌唱を随所に織り込むようになっており、耳あたりが大分良くなったし深みが格段に増した。勿論耳当たりがよくなったといってもそれはクリーンに歌い上げるところだけであり、シャウトに纏わりついている狂気はさらにダイレクトにこちらに伝わるようになった。また、Caffeinの中間部やRVで聞かれるような「低音を強調した声での語り部としての魅力」みたいのも出てきた。Mr. BUNGLEのアルバム制作に身に着けたことをこのアルバムでさらに発展させたと言った感じだ。

FAITH NO MOREで最初に買うならコレ。

投稿者 trouble : 16:02 | コメント (63) | トラックバック

Mr. Bungle / Mr. BUNGLE (1991)

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Mr. Bungle / Mr. BUNGLE

はじめてこのアルバムを聴いた時、俺は「単なるFAITH NO MORE好きの高校生」で、他に聴くのはメタルばっかだったもんで「さっぱりわからん」って感じだった。それでも「マイクのバンドだから好きにならねば」という幼稚な忠誠心から、何度も一生懸命聞いた気がする。

FAITH NO MOREの加入時にマイクが要求したのが「MR.BUNGLEでの活動も認めること」という条件だったらしい。大ヒットアルバムTHE REAL THING後という非常に大切な時期でありながらこのサイドプロジェクト(マイクにとってはむしろこちらが本業?)がレコーディング、ツアーを行ったのはその契約によるところが大きいんだろうか。FNMで一躍大ブレイクしたパットンが在籍しているバンドと言う事でCDデビュー前から話題になっていたんだけどその音楽性については全然情報がないというか「デスメタル」って言われてた。でも聴いてみれば一聴瞭然、実際のところは全然デスメタルじゃない。それにしてもいくらFAITH NO MOREのヒットがあったとは言え、まだメジャーデビューして一枚しかアルバムを出してない若造のバンド、しかもジョン・ゾーンプロデュースっつー作品がメジャーレーベルからポイっと出てくるって凄いよね。もともとパットン以外のメンバーのポテンシャルというか、バンドとしてもかなり買われていたからなんだろうけど。

このアルバムを買った当時はさっぱりわからんかったと書いたけれど、その後のパットン作品に触れ、こちらも当時より音楽キャパシティが幾分広がった今聴くと、このアルバムはすっげーわかりやすいのな。まあわかりやすいとは言ってもジャケットの不気味なピエロオヤジから受ける印象そのままの、変態的な曲展開が多いのは確かで、血まみれで爆笑してみたり糞まみれで号泣してみたりというアグレッションもありながら、ジャジーというかムーディーにしっとりとチンポ丸出しで歌い上げたりレッチリよろしく陽性ファンクでヨダレ垂らしながら跳ねたりもする。そしてそれらのパートが目まぐるしく入れ替わるという気狂いサーカス。

しかしながら重要なのはその目まぐるしさも含めてどれもすごくキャッチーだということ。むちゃくちゃなんだけど全体を通してポップさまでを感じてしまう。とにかくありとあらゆる食材(中には食材でないものも)を鍋にぶち込み、すべてがドロドロに溶けてからではなくてどれも形を失わずゴロゴロしている状態でいきなり皿に盛られて「食え!」と脅されて食べてみたら意外とうまかった、そんな不思議な雰囲気。

パットン先生は高校時代からの気心の知れた変態ミュージシャンたちとリラックスかつ気合満点でこの作品に取り組んだのだろう。THE REAL THINGとは比べ物にならない幅広い声と歌唱を披露していて「パットンの魅力」が花開いたのはこの作品があったからこそと言っても過言ではないと思う。

投稿者 trouble : 15:36 | コメント (3) | トラックバック

The Real Thing / FAITH NO MORE (1989)

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The Real Thing / FAITH NO MORE

彼らが世界的規模でブレイクするきっかけとなった、そしてマイク・パットンのメジャーデビュー作となったFAITH NO MORE3rdアルバム。ジム・マーティンのガリガリとしたメタルギターが前面に押し出されていたり、サウンドプロダクションも硬質であったりすることなどから当時のメインストリームだったヘヴィメタルな感触が非常に強い。曲調も現在と比べてストレートなものが多く、メタル全盛であった80年代後半ならではの作品と言えるかもしれない。よってクロスオーヴァー/ミクスチャーブームの旗手と呼ばれるきっかけとなったこの作品であるが、現在ほどの雑食性は感じられない。しかし、1曲1曲のクォリティーは現在と同じく非常に高い。

ストレートに突っ走るFrom Out Of Nowhereで幕を開けるこのアルバムに収録されているラップとキャッチーなメロ、そしてメタル的な音像&曲展開が絶妙のマッチングを見せるEpicは大ヒットしただけあって今聴いても変わらずカッコイイ。ミクスチャー云々というよりもたまたまヴァースがラップ(今聴くとラップって感じじゃないんだけどね)なだけであってギターソロのドラマチックさ、その構成は完全にヘヴィメタルである。また、Surprise! You're Dead!でもまさにスラッシュメタルといえるギターリフが織り込まれており、ジム・マーティンの貢献度の大きさが印象的だ。

他にもZombie Eatersにおける悲哀と怒りのコントラストが素晴らしい展開を見せる曲や8分の大作であるタイトルトラックThe Real Thingなどにもメタル色が色濃く出ている。ドラマチックなWoodpecker From Marsもカッコよい。チョッパーベースとザクザクと刻まれるギター、硬質なマイク・ボーディンのリズムに中近東風のまか不思議なメロディーがのるインスト。

10曲目にはBLACK SABBATHのWar Pigsのカヴァーが収録されている。メンバー曰く「ジョークでやっただけ」とのことだが、お遊びではすまない気合である。この曲の肝はとにかくボーディンのドラム。かっこよい。

マイク・パットンのヴォーカルは現在と違ってあまりオペラティックな印象はなく、声質も今よりピッチが高く、鼻のつまる一歩手前のような不思議なひらべったい声…という印象だ。しかしその表現力はすでにその後の凄まじさの片鱗を見せている。スラッシーなSurprise! You're Deadにおいて思いっきりヘヴィーな歌唱を披露したかと思えば、一転Zombie Eatersのイントロにおける囁くような歌を聴かせている。INTRODUCE YOURSELFまでのF.N.M.も独特の魅力があったが彼の加入で一皮むけたような感じ。一気にメジャー感が出た。

投稿者 trouble : 15:28 | コメント (47) | トラックバック

2005年02月26日

最近のそっくりさん。

THE MARS VOLTAのJuan Alderete(=RACER XのJohn Alderete)とANTHRAXのJohn Bush。

あと、上海冷茶の大地真央と木村カエラ。

こっそりアフェリエイト導入してみました。商業主義ばんざーい。ってこんな零細サイトでやったって別に儲けなんか出ないのはわかってるんですけど単純にこれがあると便利よね。よさげだけどCD屋に探しに行くのはめんどい!と言う俺みたいな人は活用してください。これをモチベーションにせっかくだからもう少しいっぱいレビュー書こう。

あと前のサイトで書いてたパットン関係のレビューとかBON JOVIのページとかなんとかすっきりこっちに移せないか考えてるんだけどなかなかめんどい。どうしよっかな。

投稿者 trouble : 20:40 | コメント (7) | トラックバック

2005年02月25日

FANTOMAS新譜!

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4月に発売が決定しているFANTOMASの4thアルバムはなんと奈良美智とのコラボ。アートワークがキューティーっつーか微妙に微妙です。

で、こちらのリンク先で1曲聞けるんですが、すげーわかりやすい。今回は3rdとは正反対にこういう作風になるのかしら。曲名は全部日付なのね。まだX-ECUTIONERSとのコラボ作品聞けてないけどすでに気分はFANTOMASモードになってきた。で、こうやって日本人アーティストとコラボったからには来日も期待したいところです。ライブ観たのってもう4年半前だもんなあ。今考えると渋谷で二日間もFANTOMASのライブが観れたなんて夢のような出来事に感じる。

投稿者 trouble : 23:26 | コメント (35) | トラックバック

2005年02月24日

Unleash The Fury / YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCE

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Unleash The Fury / YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCE

長文です。超長文。

どうも「イングヴェイはクラシックの影響を受けていて高尚だ!」とか「イングヴェイの魅力はクラシックに影響を受けた美しいメロディーだ!」とか言いたがる耳の腐った人が多いんですが、そういうこと言ってる奴は信用してはいけません。

イングヴェイの「クラシカル」っていうのにみんなどんだけ気品とかを感じてるかはわからんけど、俺が聞く限り彼のクラシックは本当の意味でのクラシック感覚というよりは、田舎の金持ちが「これがロレックスだべ!」「シャネルってのは高級なんだべ!」「本当の金持ちはゲージツを学ばないとな!」ってアピールしているようなのに近い気がするんだよね。いやイングヴェイは本気で好きなんだろうけどさ、その根っこにある人格的なとこにそういう下品さがあるというか。

とは言うものの、最初からイングヴェイが下品全開だったかというと、そういうわけでもない。20代の頃の彼の音楽には、中学生が権威に向かって自分の力を誇示しようとするような甘ったれたトゲトゲしさと、その裏側にある思春期的ナイーヴフィーリングが随分と表れていて、それが彼の音楽を北欧的ダークでアグレッシヴなヘヴィメタルの中に繊細な美しさを共存させるという「ネオクラシカルヘヴィメタル」たらしめていた。

今聞き返すと20代の頃の彼の作品は本当にナイーヴで彼自身の自己顕示欲と繊細なパーソナリティが強く表れており、ROCKIN' ON的な視点でも十分に語ることができるだけの文系ロック感覚があったと思う。もちろんそれに留まらないメタメタしいアグレッションも満載だったけど。

しかし、この若者ならではのナイーヴさを維持し続けるのは難しい。イングヴェイもそのナイーヴさを美しさと繊細に昇華させていたのは20代の間までだった。30歳を過ぎた頃からそのナイーヴさは大人の世界で身に着けた傲慢さに置き換わり、それと同時にナイーヴな感性から生み出されていた美しさと繊細さは傲慢さから放出される下品な雰囲気と野太いグルーヴに取って代わった。

よくイングヴェイの作品を語る際、交通事故前と交通事故後、もしくはポリドール時代とそれ以降というように分けることがあるが、俺にとってイングヴェイが変わったのは30歳っていうのが大きな分岐点になっていると思う。最近の作品に否定的な人は押しなべてそのナイーヴだった頃のイングヴェイを求めているんだと思うけど、それはぶっちゃけ40の男に「なんでお前ヒゲ生えてんだよ生やすんじゃねーよ!」と難癖付けてるようなもんで、何をいまさらって感じ。

で、何が言いたいかっていうとイングヴェイの魅力っていうのは下品なカッコよさにあるわけであって、クラシカルなフィーリングってのは後付けの装飾にすぎないってこと。

今回のアルバムは、イングヴェイ自身が初めてそのことを自覚して表現したような感じがある。今までは自分でもどっちが自分の魅力か決めあぐねているところがあって、そのせいで最近の作品にはやや中途半端なもどかしさを感じるものが多かった。特にATTACK!!はそんな気がする。でもUNLEASH THE FURYには「俺の魅力はこういうヘヴィで下品なグルーヴだろ!これがロックなんだよバーカ」っつーステートメントが込められているような感じがして個人的には痛快だった。

もちろん歌メロの弱さに関してはいかんともしがたいところがあるしギターソロのコード進行っつーか展開はマンネリを超えて「そういう展開にすると決めてある」ぐらいワンパターン。音質だって例によって悪い。このアルバム聴いたあとに聴く他のバンドのどのアルバムもまず「うわ、音いいな!」って思うぐらいだし。しかし、今回はそういうのってどうでもよくね?って思えるだけの勢いとエネルギーがあると思うんだよね。リフの音はファットで、ドラムもバタバタやかましい。ベースは大人げないし、手癖だらけであってもギターソロはピロピロっていうのとはまた違う鋭さで切り込んでくる。音の汚さも今回は別にマイナスに作用してないと思う。曲数にしてはやっぱ省けばもっと締まっただろうなとは思うしCrown Of Thorns, Beauty & A Beast, Revelation, The Huntあたりはカットしてもよかったかもしれない。まあもっといらないのはクラシックのカヴァーなんだけど、この恒例のカヴァーがあるとイングヴェイの大阪のブランドおばはんみたいな下品さが強調されるから残しておこう。でも、意外と冗長さを感じなくね?

今までのイングヴェイの作品で「曲がいい」って思えた瞬間は何度もあったけど、「カッコイイ」って思えたアルバムはあまりない。そういう意味では完成度はともかくとしてイングヴェイ史上もっともカッコイイアルバムが今作であると思う。Locked & Loaded, Cracking The Whip(ノイズがかっちょいい)あたりの「美しいメロよりもカッコよさが重要だ!」みたいなのはかなりいい。まあそれだけにこのヴォーカルのショボさがもったいないんだけどさ。全曲イングヴェイがダミ声で歌ったほうが良かったんじゃねーかな。

あとね、そもそもSEVENTH SIGN以降のイングヴェイは「ネオクラシカル」ではないわけで、だからこそ「ネオクラシカル」という視点でフォロワーの完成度と比較するのは90年代初期ならまだしも、今となっては完全に無意味だと思うんだわ。イングヴェイは「クラシカル」という装飾を用いての「ロック」作品を作る中で、そのフォロワーたちとはまったく違う次元のカッコよさを追求しているわけだし今回そのカッコよさという点ではかなり実現できていると思う。音楽に機能性しか求めない人にはそういう感覚はおそらく理解できないと思うけど。まあ表面的なキレイキレイ音楽を聴きたいならひたすらママに選んでもらって聞いてればいいと思うし、どっちにしてもお上品な音楽で表現できる美なんて麻生久美子のアゴのラインの美しさと比べたらウンコみたいなもんだ。こうなったら音楽に何を求めようが人の勝手だみたいな意見は無視だぜ!いぇーい!

そういうわけで、俺はこのアルバム好き。オタクっぽいフレーズの積み重ねでオタク向けの機能性オンリーのネオクラしか作れないフォロワーたちの中でイングヴェイのように「かっこいい」と思える音楽を作ったアーティストなんかいないわけで、そもそもの格の違いをまざまざと見せ付けたアルバムだと思うよ。いや別にフォロワーと比べてる人に対してこうして理論武装したりするなんてのも無意味なんだけどさ。理論武装しなきゃ聞けないアルバムでもなくて、単純に熱くて下品でかっこいいアルバム。

と、書いておきながら実はこのUnleash The Furyがそこまで素晴らしい作品だとも思ってないんだけど、どうも「最近のイングヴェイのかっこいいとこ」をきちんと理解してる人って少ないよなあ、というもどかしさで長々と書いてきたわけです。ここ数年思ってたんだけど、イングヴェイが比較される対象はザック・ワイルドとかMORTORHEADのレミーみたいなキャラのアーティストだと思うんだけどどうだろう。音楽性はまったく違うが表現しようとしていたロックのカッコよさについてはこの両者のベクトルに近いものがあると思うんだよな。

ということで発売後3日間聞きまくっている最中の感想でした。今後また変わったら「YNGWIE」カテゴリーでちょろちょろ追加していこうと思います。

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2005年02月23日

大人買いしました。

Unleash The Fury / YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCE
Jeff Hanson / JEFF HANSON
Lady Sleep / MAXIMILIAN HECKER
Stabbing The Drama / SOILWORK
Visual Surveillance Of Ectremities / LIESGANG・WHITE
Angel Of Retribution / JUDAS PRIEST
The Astral Episode / RICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY
Red White & Crue / MOTLEY CRUE

イングヴェイとソイルは昨日待ちきれずに買ったんだけど他のはきちんとHMVのダブルポイントを待って購入。まだまだ聴いてないんですが、JUDAS PRIESTはなんつーか本当にヌルかった。でも曲はいいんじゃね?まあ褒めるところが「曲がいい」ってこういう音楽でどうなんかなって気もするけど。オマケDVDもロブの「動けません・・・」ぷりが凄いよ。これ威厳じゃねーだろ。

意外とよかったのがSPACE ODYSSEY。歌メロがいいって大切だなあって思った。SOILWORKはまだちょっとだけしか聴いてない。とりあえずどのアルバムもイングヴェイの後に聞くと「うぉお音いいなおい!」って思えます。

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2005年02月22日

ファーストインプレッション

買ってきました。Unleash The Fury。いくらAttack!!に免疫が出来たとはいえ、最近のイングヴェイに期待しすぎるとなあ、と思って聞く前から「絶対いいはずない」と思って聴きました。

あれ。

いい。

妙にクリーンに整理されていたAttack!!よりも今回は単純にヘヴィでかっこいい。飽くまで今までの作品と比較してなんだけどアグレッションがすげー高い。予想通りパトリック・ヨハンソンのドラムがかなり貢献してるんだけどイングヴェイのギターも超下品な感じで最高。ソロはやけにキレが良くてピロピロって感じじゃない鋭さがあるし、何よりリフの下品さがたまらん。最近のイングヴェイの本質が非常によく表れていると思う。ザック・ワイルドとかのヘヴィネスとかに魅力を感じる人のほうが今作を素直にかっこいいって言えるんじゃないかって気がする。下手すりゃJUDAS PRIESTの新作よりも「メタルとしてのかっこよさ」があるんじゃないの?(まだ聴いてないくせに言ってみる)いやそりゃ言い過ぎか。「ロック!」だとは思うけど「メタル!」って感じでもないもんな。

お美しくて気品あふれる高尚なクラシックメタルをご希望の「にわかイングヴェイファン」にはなんのこっちゃな作品かもしれないけれど、「イングヴェイの本質は下品で、どうしようもなくロックなところ」だときちんとわかっている俺みたいなきちんとした耳を持っているイングヴェイファンにはこの作品の魅力が伝わるんじゃないかしら。俺の前で「俺が世界で一番イングヴェイを理解している」って言ってた二人はどうなのかしら。世界一イングヴェイを理解している三人、って「世界三大七不思議」みたいでいいね。

Let The Good Times Rollの歌メロは93年に録音されたイングヴェイ史上最高に速いEvilの歌メロを転用してるね。とネタメモ。

イングヴェイについてはかなりキモーい長文を書きかけているのでそれと併せてこのUnleash The Furyのレビューにしようと思ってます。それを書き終えるまでに「やっぱつまんないな」と思ったりしませんように。

なんか使われる写真のイングヴェイは全部「チュー」って感じの口になってるのでアルバムタイトルは「ファースト★キス」とかのほうがよかったと思う。

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2005年02月19日

Party Dude!

っていうメタル番組がスカパー!の272chで放映されてるんで毎回楽しみにしています。KUNIのしゃべりは鬱陶しいんですが、メタル系のアーティストの来日公演は必ず放映してくれるので重宝してんだよね。少なくとも延々とインタビュー流してクリップ2曲ぐらいで30分終了!みたいなROCK CITYよりははるかに内容が充実してる。で、今週はTHE RASMUSとRAGEのライブを3曲ずつフル(これ重要)で流してくれました。

THE RASMUSはライブ会場で観たときと変わらずの印象でしたが、RAGEが全然ちげーんでやんの。当日の実際の出音とは逆でただひたすらギターの音がデカイ。バッキングのときもデカイ。マイク・テラーナのドラミングも、ピーヴィーの頭の湯気も吹っ飛ばす音量でギターが鳴ってます。ベースが聞こえないのは同じですが。もちろんギター大好きっ子な俺としてはむしろこんぐらいバランス悪くても満足。出音もこんぐらいデカイ音でギター鳴らせばかっこいいのになあ。

そういやマイク・テラーナと言えばYNGWIEのSEVENTH SIGN。SEVENTH SIGNは歴代のイングヴェイのアルバムの中でもっともグルーヴィーなアルバムで、マイクの貢献はめちゃめちゃデカいと思うんだけどそのことについてはまた別の機会に語ることにして。マイクはイングヴェイとソリが合わずにSEVENTH SIGNツアーの前半だけでバンドを脱退してるんだけど、その脱退前の音源聴くと疾走曲をアホみたいに早く叩いてるの。Never DieとかRising Forceはかなり速い。Far Beyond The Sunは疾走曲になってるし、Seventh Signもすげー急いでますって感じ。オリジナルと比較してツーバス連打のパートを増やしてるアレンジも好きで、上に書いたFar Beyond The Sunの他にもI'll See The Lightのギターソロで途中ツーバスの疾走パートを入れたりして、それがすげーかっこいい。

で、そんだけ速くプレイしてもツブはそろってて聴いてて気持ちがいいマイクのプレイはさすがなんだけど、大変なのは他のメンバー。何気にマッツ・オラウソンはキレのいいプレイを聞かせるし、バリー・スパークスは俺も負けねーと言わんばかりにブリブリオカズ入れてきてていいんですがヴェセーラは結構大変そうだし何よりイングヴェイがところどころヨレヨレになりながら必死に着いていってる感じ。いやでもこれはこれでホントかっこいいんだよね。トミー・アルドリッジの妙に遅いのとか、ジョン・マカルーソの致命的な音圧の欠如っぷりとかと比べたらマイクのドラミングは神のようです。

そんなマイク・テラーナwithイングヴェイバンドを聞くなら比較的手に入りやすい1994年5月18日ドイツ・フランクフルト公演がオススメ。かなりPAに近いところでデジタル録音されたものなので音質は2005年の今聴いても最高レベル。珍しくイングヴェイのギターの音がやや小さい(普通のバンドと同じぐらいってこと)んですがヴェセーラのヴォーカルがクリアに録れててしかも彼にしてはなかなか調子がよく、さらにバリー・スパークスの弾きまくりベースも楽しめる。もちろんテラーナのドラムもクリア&迫力満点。セットリストも他の日にはプレイしていたCrystal Ballが外れているのは残念だけど遊びでブラスト入ったDay TripperやらQUEENのStone Cold Crazy、DEEP PURPLEのBurnなどのカヴァーもあり、聴いててとっても楽しい。久々に聴いたけどこの音源は俺の中でかなりポイント高い。

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2005年02月17日

Rocked, Wired & Bluesed : The Greatest Hits / CINDERELLA

cinderelladvd.jpg

Rocked Wired & Bluesed: Greatest Video... / CINDERELLA

「あ~らとっつぁーん死んでれら~と思ったら生きてれら~」というのはルパンの名言ですが、去年末のWHITE LIONブームに続いて現在はCINDERELLAブーム。

俺が彼らを知ったのはMTVヤポーンでNobody's Foolのビデオクリップを観て気に入り、1stをレンタルしたときでした。そのナンパなバンド名と「BON JOVIの弟分」という触れ込みとは裏腹に、トゲトゲしいサウンドと伸びやかになったウド・ダークシュナイダーって感じのヒステリックなヴォーカルが印象的でした。俺ウドは嫌いだけどCINDERELLAは平気なのよね。今でこそヘアメタルみたいに言われてるしBON JOVIの弟分ってことでポップなイメージがあるかもだけど、この1stはすげーメタリックでアグレッションも強く感じることができた。Somebody Save Meみたいに攻撃的なリフが曲を引っ張るようなのもあるし、楽曲の良さとか以前に単純に「かっこいい」って思えたな。

2nd以降はフナみたいな口をしたトム・キーファーの趣味が色濃く出た軽薄さとは無縁の渋い曲も増えたけれど、そこにもキャッチーなセンスってのは健在でどのアルバムにもいい曲が沢山入ってた。特に俺が好きなのは3rdのHEARTBREAK STATIONなんだけど、Shelter Meのようなサックスソロにしびれる少しファンキーな感じもするキャッチーな曲やThe More Things Changeみたいなちょっぴり土臭いストレートなハードロックチューン、今聴いても泣けてくるセンチメンタルな失恋バラードの超名曲Heartbreak Station、そして「これがブルーズだよ!」と中学生にシタリ顔させてしまうような渋い曲も入ってて今でも聴いちゃう。こういうアルバム作れちゃうバンドを「ヘアメタル」でくくって過去の遺物扱いしちゃっていいの?みたいにちょっと熱くなっちゃうほど好き。

このDVDはそんな彼らのビデオクリップ10曲を集めたDVD。オマケでLONG COLD WINTERツアー時のインタビューやライブ映像、Heartbreak Stationのビデオクリップのメイキングなど、以前リリースされたビデオ作品にも収録されていた映像もまとめてくれてあります。あとはトムたちのコメントとかね。意外としっかり作ってある。

さっき「過去の遺物にするな」とか書いてしまいましたが、さすがに初期のビデオクリップはノスタルジックな空気を感じさせてくれます。1stからの3曲はバンド名にちなんで意地悪姉妹が出てきたりするし(シンデレラ役はビデオによって違うのね)。Gypsy Roadのビデオクリップの見所は珍しくスッピンのトムの笑顔です。

音楽的にトムのワンマンバンドであったことは間違いないと思うんですが、こうして映像で見るとジェフやエリックはギター&ベース回しみたいなとこだけじゃなくて身のこなしみたいのにもそれぞれ華があっていいです。音楽性云々よりもこうやって「魅せる」こともできるプレイヤーがそろっていたのが80年代バンドならではって感じ。ちなみにトム・キーファーはNobody's Foolとか観ると、すげーゴスっぽい。

ウェインズ・ワールドのサントラに提供した名曲Hot & Botheredのビデオクリップが入っていないのは残念だけど、他のビデオクリップは全部入っているし、上に書いたようにオマケも入って輸入盤なら1600円強で買えちゃうんだからこりゃお得。CD版も出ていてそちらはビデオクリップになっていない曲の選曲もばっちしだしHot & Botheredも収録されてるのでそちらもオススメ。1997年に出たベスト盤も、日本盤ならNight SongとPush Pushがボートラで収録されているし、ジャニス・ジョプリンのMove Overのカヴァーも入ってたりするんでオススメなんで見かけたらどんぞ。

ちなみにここらへんのベスト盤では申し訳程度に1曲ずつしか収録されていない4thアルバムStill Climbingですが、3rdよりも躍動感があるというかドライヴ感満点。頭3曲のたたみ掛けや疾走チューンFreewheelinのカッコよさといったら。助っ人参加のケニー・アロノフのヌケのいいドラムも気持ちいい。、ヒット曲こそないものの、内容は素晴らしいので軽視しないように。

投稿者 trouble : 23:28 | コメント (26) | トラックバック

2005年02月16日

CDのデータを取り込むとき

ってさ、ネットで情報集めてくるじゃん?大抵のものは情報を取得できて、すっげーマイナーなレーベルからしか出てないようなアルバムでも曲目、アーティスト名はもちろん、ジャンル名まできちんと出てきたりする。一体どういうシステムで情報を拾ってくるのか、その情報はどういうシステムでアップされてるのか不思議だなって思います。

で、さっき書いたイングヴェイの大阪公演のブートを取り込んで、自分で曲名打ち込んでウォークマンで聴こうと思ったら、登録されてんの。このブートのデータ。すげー。一体どういう基準で選ばれてるんだろう。ブートまできちんと登録されてるとは思わなかったよ。不思議だよねー。どなたかこのシステムに詳しい方いらっしゃらないかしら。

投稿者 trouble : 22:20 | コメント (5) | トラックバック

You've unleashed the fucking fury!!

いやいや新作のタイトルはどうやら本当にあのテープの中の名セリフが由来みたいっすね。

あのテープっていうのは88年にイングヴェイご一行が来日公演のためにアメリカから日本への飛行機に乗っているとき、しこたま酔っ払ったイングヴェイが他の乗客とトラブルになり、口汚く罵ったりしてる様子をバンドのメンバーがこっそり録音し、数年前にネット上に流したという笑えるテープ。

まあこういうの録音するのはヨハンソン兄弟のどっちかだろうなあって気はするんですが、本物だったのね。捨てずにとっておいてよかったぜ!とダメなコレクター根性。いや今でも普通に色んなとこにアップされてるんだけど。

というわけで新作発売が間近に迫ってきた今、ATTACK!!を聴きなおしてます。発売当時はもうダメだこりゃあ!って感じで投げちゃってたこのアルバムなんですが、ようやく免疫が出てきたようでイイって思えるようになってきたかも。新作の曲をラジオで何曲か聴いたときも思ったけど、イングヴェイって最近は「明確なサビ」ってのがあんま好きじゃないみたいだよね。サビはタイトル連呼なだけだったりさ。Attack!!あたりはわざとわかりやすいメロを避けてる気もするし。最近の彼はそういう歌モノとしての完成度よりも突進感やヘヴィネスを追求してるわけで、そう思って聴いてるとATTACK!!も意外と悪くない。Rise Up, Attack!!, Ship Of Foolsあたりは好きになってきたよ。速い曲はパトリック・ヨハンソンのドラムとブリブリした弦楽器隊の疾走感が気持ちいい。いやAttack!!はすげーハマったかも。何そんな急いでるんですか?っていう性急さがかっこいい。

そうやってATTACK!!を復習して無理やり好きになりつつ新譜のリリースに備えるという盲目ファン全開のヲタ遊びの中で2002年のツアー音源をいくつか聴いてみたんだけど、こちらもツアー前半だった川崎・東京公演こそダメダメなものの、広島、大阪あたりはバンドにまとまりが出てきてかなり聞きごたえがある(ソロタイム飛ばせば)。パトリック・ヨハンソンの重さ・キレ、疾走感のすべてを兼ね備えた理想的なドラミングに引っ張られた演奏は鳥肌モノだ。大阪公演はイングヴェイのギターもアホみたいに音がデカくて下品でかっこいいし。ラウドなことは美しきかな。

やっべマジ楽しみになってきたかも。歌メロの美しさとかクラシカルな高尚さとかどうでもいいから下品なの一発かましてほしいぜ。

投稿者 trouble : 20:50 | コメント (184) | トラックバック

買ってしまった。

来週の大量リリースを前に。

どうでもいいけど「たいりょうりりーす」を変換したら「タイ料理リース」って出やがったよ。料理をリースされてもな。食べたらウンコでしか返せない。

The Black Halo / KAMELOT
Severance / DAYSEND
Between Two Horizons / PLATENS
Never Take Friendship Personal / ANBERLIN
Rocked, Wired & Bluesed : The Greatest Hits / CINDERELLA

KAMELOTは相変わらず。これをいきなり突きつけられたら「すげ!」って思うんだけど、さすがにそろそろ飽きてきた気もする・・・。作品のクォリティとか別んとこでね。

投稿者 trouble : 19:32 | コメント (3) | トラックバック

2005年02月13日

MANIC STREET PREACHERS at ZEPP TOKYO

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ZEPPは久しぶり。いつ以来だろう。A PERFECT CIRCLE以来だったりして。したら1年近く来てなかったってことかな。

今日は5時開演だから早く帰れるぜーと思って会場入りしたら、ガラガラ。最終日なのに?と思っていたら前座がつくらしい。それでみんな来るのが遅かったのかな。まあどっちにしても2階席は完全閉鎖になっていたからそんなにチケが売れてたわけでもないみたい。

で、その前座。DETROIT 7っつったかな。女性vo.&guitarとベース、ドラムの3人編成でややヒネリのあるロックンロールをやってるんですが、これがもうつまらなくて・・・。なんかよくいる「文系ロック幻想に憧れているおねえちゃん」的なんだけど、すべてが痛い方痛い方に転がっていってる感じ。って俺は3曲見て外に出てしまったので、もしかして途中から素晴らしいショウを見せてくれたのかもしれません。

そんなわけでMANICSの前に少々グッタリしてたんですが、結局MANICSのショウ開演直前にはそれなりにお客さんも入り、新作の1985でライブスタート。セットリストは新作LIFEBLOODから多数プレイされていましたが(当たり前だ)、それ以外にはHOLYBIBLE10周年記念アルバム&DVDがリリースされたからか、なんかこのアルバムからの曲が多かったような気がする。序盤にYou Love Usが来てビックリしたけれど、全体的にはHOLYBIBLEとLIFEBLOODからの曲を軸に、代表曲を絡める感じのセットリストでラストがA Design For Life。The Masses Against The ClassesやMotown Junkなんかはやっぱり盛り上がるけれど、全体的には大人しめのムードだった気がします。

相変わらずひたすら直線的なビートだけを叩き出すドラムと、ルックス担当のベース。今更言うことでもないけれど、少なくともライブでのMANICSの音楽的魅力はジェイムズ一人にかかってる。そのジェイムズ、前回ちょっと痩せた気がしたんだけど今回はまた丸くなった気も。まあそんなことはさておき、彼の歌声は相変わらずまっすぐこっちに届いてくる。いい声してるよなあ。ギターもうまいし。

まあわがままな感想としては、今まで行ったライブでは聴けなかった曲も多かったんで嬉しかったんだけどそのせいなのかThe EverlastingとEverything Must Goっつー俺の大好きな2曲をプレイせずでちょっと切なかった。KNOW YOUR ENEMYのFound That SoulとOcean Sprayも聴きたかったし・・・って贅沢言ってたらキリがないんですが。よく考えたら前回の来日はグレイテストヒッツライブで、あれが奇跡みたいなもんだったんだよな。あんときは演奏のノリも客のノリも凄かったなあ。やべ、後ろ向きになっちまったぜ。

ということで、2週間で9本っつーライブ三昧は今日で終了。さすがにハードだったけどいいライブを沢山観れたので幸せだったなあ。明日からはしばらくそれがないかと思うと切ない。あんなに・・・もうロンリネス(Motorcycle Emptiness)って感じ。

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2005年02月12日

METALIUM, DREAM EVIL at 渋谷クラブクアトロ

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HATEBREEDを捨ててこっちに来る僕。METALIUMを観ずにHATEBREED行くようなヤツにロック語られても信用できねえよな!いやチケット取れなかったんだから捨ててっていうか捨てられて、だな。

開演20分ぐらい前に入場すると、客入りは多く見積もって5割ぐらい。スカスカでした。最終的にはもうちょっと入ったのかな。「あ!なかやまさんだ!」と後ろで気づいて前から3列目ぐらいに普通に会いに行ける感じ。ゆったり観れてすげー楽。

METALIUM
音デカい。こないだのCONVERGEと同じぐらいデカかったような気がする。
デカい音でメタルの名にふさわしく鋼鉄な音像、思わずアタマを振りたくなる疾走感、ライブ慣れした堂々としたパフォーマンスと、アピールポイントはあるんですが、俺にとってはどれも同じで面白みを感じられないメロディーとぐっとくるアレンジがまるでないバカ正直な(ダメ正直な)メタル金太郎飴って感じでかーなーりーぐったり。2曲でいいよ。そういう意味ではMASTERMINDみたいだなあ、って思ってみたり。で、ギターも音デカのはいいけどキレがなくてリフもソロもぐじゃぐじゃ。ジャキジャキしたカッコよさはまるでなし。Metaliumと新曲(Cyber Horizon?)はちょっといいって思ったけど。あ、あとラストの曲もね!

ネタ的には、曲始まったとこで弦が切れたベースがまったく慌てる様子もなくアンプの上から予備の弦を取り、裏で自ら張り替えてたベースがかっこよかったです。さらにはそういう状態になっても別に音の厚味に変化が特に無いってとこも。んじゃベースいらねんじゃね?と思ってしまいそうですが、そんなことはないのです。METALIUMのベースはSLIPKNOTにおけるピエロ達みたいなもんなのだ。音なんて聞こえなくてもいいからそこにいることが大事なのよね。あと、DREAM EVILの開演前、メンバーが客席に来て「サインするよ!下に来いよ!」って言ってもあまり人がついていかなかったっていうのもメタリウミックで良かったです。

でもまあ高い金出してそういうネタ観にいくわけじゃねーからな。どうでもいいです。70分長かった。うんち。

DREAM EVIL
こちらも俺にとってはドーデモイーヴォーなんですけども、やっぱりスノーウィー・ショウはすごい!全編ドラムソロでその上に曲が乗ってるような雰囲気はもうTHE MARS VOLTAの域。DREAM EVILは超THE MARS VOLTAタイプ。いやでも毎回思うけど、この人のドラミングを観るためだけでも金払う価値あるよなあ、ってぐらいスノーウィのドラムは大人気なくてかっこいい。他のメンバーはこんなのがドラムだと演奏しにくいだろうなとは思うけどさ。

あと、METALIUMの後だけに、曲の良さが際立つライブだったなあと思う。各楽曲に必ず「ぐっと来るツボ」みたいのが配されてて斜に構えて観ててもつい拳を握ってしまうような。大好きなInto The Moonlightのサビのショボさにガッカリしながらも、In Flames You Burnとかやられるといてもたってもいられなくなっちゃったりして。かっちょいいよなこの曲。銀塗りメイクしちゃうようなセンスとどうもハマりきれない雰囲気が彼らのアルバムにはあるんですが、ライブだと素直にその音楽のカッコよさを体感できるというか。

新加入のマーク・U・ブラックはスウィープだとかタッピングだとかを華麗に操る現代的なギタリストで、ソロには必ずタッピング入れないと死んでしまうレブ・ビーチ病でした。写真で観たときは地味だなーとか思ったんだけど近くで観たら意外とイケメンだったような気がする。超ピロピロ。ただ、こないだ観たRAGEもANGRAとかもそうなんだけどさ、どうしてソロ以外はギターの音ちっさくしちゃうんだろう。メタルなんだからヴォーカルなんかかき消すぐらいギターがデカくてジャキジャキしてればかっこいいのになあ、と思うんだけど(イングヴェイ麻痺)。どんなに上手いギタリストでも、バッキングのギターに音圧がないサウンドになってると俺としてはすげー不満なんだよね。そういう点ではヘタでもバッキングんときも音がデカイMETALIUMのギターのほうが気持ち良かった。

で、全体的な印象なんだけど、METALIUMと正反対。バーコードTシャツのヴォーカルは相変わらずMCヘタで曲間のつなぎがダメダメだったり、バラードでカッコよくライブを終わらせようとしても結局ビシっと決められなかったり、なんつーかショウとして、バンドとしてはグダグダだったんだけど音楽的にやっぱ好きだなって思わせるところは満載だったのでいいかな、みたいな、スノーウィーが叩きまくってグっとくる曲が沢山聴けたのでそれでいいやって感じ。

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2005年02月10日

MY CHEMICAL ROMANCE at 恵比寿リキッドルーム

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今日も恵比寿。客層はとにかくヤング!30代俺一人じゃね?って感じ。で、女の子が多いのはまあ予測がついたんですが、みんなちっちゃいの。平均身長150ぐらい。おかげで俺もステージ全体が見渡せてよかったです。

演奏は意外とと言ったら失礼ですけどリズム隊がそこそこしっかりしていて安定感がありました。いやそりゃものすげー上手いってわけじゃないけどギター、ヴォーカルも含めて彼らが表現しようとしている音楽には十分なスキルというか。リズム隊は大人しく演奏、ギターとヴォーカルが暴れ担当。

ヴォーカルは客席に向かってツバをはきまくってて「止められないんだ。君たちも俺に吐きかえしてくれ」みたいなこと言ってたけどFAITH NO MOREのチリ公演みたいなことにはなりませんでした。他にもいろいろヴォーカルがMCでオーディエンス煽ろうとしてたんだけどあんま通じてなくて反応は少なめ。そんなところもI'm Not Okay。

1stの曲はノリがいいだけって感じだったけど、2ndの曲はホント勢いの中にメロディーの素晴らしさが光っていてこうしてライブで聴くと改めて魅力を感じました。で、本編ラストがI'm Not Okay、アンコールがHelenaっつー反則の2連発。大合唱とお祭騒ぎと甘酸っぱさでともにあっという間にライブ終了。楽しかった。

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2005年02月08日

THE MARS VOLTA at 恵比寿リキッドルーム

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先日のDojo出場バンドと並んで、今もっとも「批判しちゃいけないムード」ぷんぷんのバンド、THE MARS VOLTA。本当にみんなすげーと思ってんのー?ほんとはBON JOVIのほうが好きなんじゃないのー?

こないだのTHE RASMUSのときとは打って変わって男の比率が断然高い客層。しかもみんな背高い。こうなるとちびっ子ちゃんには苦しいので無理して前には行かず、一段高くなったとこでイスに座ってのんびり観戦。約90分のライブだったけど、新作からはCygnus... Vismund Cygnusの1曲だけ。ライブ全体はあらかじめきっちり流れを決め、そこにインプロパートが組み込まれているという構成で、全体的な雰囲気は前回と同じ。新曲1曲だけってことは新作のツアーでもう一度もどってくるってことなのかな。

1曲目のTake The Veilはなんか音がこちらに届いてこないというか、「あれ?」って感じだったんですが、途中からはやっぱりそのリズムとドラマチックで煽情的な演奏に体が動かされるのなんの。正直音の圧力みたいのは去年のクアトロのほうが上だったし100%の出来だったとは思えないけれど(音響のせいもあるのかな)やっぱすげーっすこのバンド。こないだのdojoのすぐ後でもまったくインパクトが弱くならない。

両ジョンの鉄壁のリズム隊とロドリゲス弟のパーカッション(貢献度大)の上で自由奔放に暴れまわるオマーとセドリック。両者ともに去年よりもアフロ度アップしてました。いやでも相変わらずジョンのドラミングは鬼です。下半身にうったえてくるドラムってかっこいい。マイク・テラーナごときで喜んでるやつは、メタラーとしての自分の存在を(中略)要ないけどね。

で、今更思ったんだけどきちんと曲として爆発しているパートよりも、オマーが好き勝手にエフェクト使って「それってただデタラメ弾いてるだけじゃね?」って思ってしまうようなフレーズ弾いたりジョンがバンマスとして次のパートに移るためにバンドを引っ張っていくとこ(これに関しては前回よりもさらに凄みを増してた気がする)のほうがやっぱ緊張感高いんだよね。「次どうなるんだ」ってのがあるから集中して見ちゃうの。弛緩したインプロは苦手だし、実際このバンドのインプロを苦痛に感ずる人も多いんだろうけど、俺とは相性がいいらしい。少なくともひきつける力はすげえ。おっくんは「暴れて踊ろうと思って来た若年層のオーディンスをすっかり置いてけ堀に。」って書いてたけどただ暴れて踊ることを目当てにしてるファンってMVの場合圧倒的に少数派で、皆インプロパートでの緊張感とトランシーな雰囲気を評価してると思うんだけど。

と言いつつ彼らの「曲」もやっぱり大好きなわけで、その曲のパートとインプロパートの両方が凄まじいからこそそれぞれのパートがさらに引き立つわけだ。緊張感あふれるインプロパートから「曲」になだれ込むときのカタルシスと言ったら筆舌に尽くしがたい。この感覚は他ではなかなか味わえないよ。

MCどころか「サンキュー」すら言わず、アンコールもなし。徹底的に演奏と音楽だけに没頭して、それが聴くものをここまでエンターテインしてしまうんだからすげーよな。やっぱ唯一無二。新作からの曲ももっとライブで聴きたいのでとっとと再来日してけれ。

投稿者 trouble : 21:54 | コメント (280) | トラックバック

2005年02月06日

TALISMANのDVD

これこないだ飲んだときにとしおっちに聴いてすげー気になったんだけど、としおっちのサイトにきちんとニュースでアップされてたのね。コピペさせてもらいます。

DVD1
Recorded live at Club Mondo Stockholm, Sweden - August 2003

Break Your Chains
Color My Xtc
Fabricated War
Mysterious
Skin On Skin
Tears In The Sky
Break It Down Again
In Make Believe
Scream Of Anger
If You Would Only Be My Friend
I’ll Be Waiting
Outta My Way
Standing On Fire

Recorded live at Sweden Rock Festival, Solvesborg, Sweden - June 2003
Break Your Chains
Color My Xtc
Fabricated War
Tears In The Sky
Crazy
Break It Down Again
Mysterious
Standing On Fire
In Make Believe
I'll Be Waiting

Bonus Features
Multi-angle Concert Videos:
Mysterious
If You Would Only Be My Friend
Outta My Way

DVD2
Retrospect – The Movie – including

I’ll Be Waiting (Video)
Just Between Us (Video)
Mysterious (Video)
Time After Time (Live In Japan, 1993)
Comin’ Home (Live In Japan, 1993)
All Or Nothing (Live In Japan, 1993)
Color My Xtc (Video)
Here 2day, Gone 2day (Live At Sweden Rock Festival, 2001)
Body (Live At Sweden Rock Festival, 2001)
Fabricated War (Live At Lokerse Feesten, 2003)
Tears In The Sky (Live At Lokerse Feesten, 2003)
Crazy (Live At Lokerse Feesten, 2003)
Skin On Skin (Video)
Outta My Way (Live At Lokerse Feesten, 2003)
In Make Believe (Video).

Bonus Features
Discography
Shred Video
Naked Bassplayer
DVD credits (featuring "Eating My BLT 2004")

果たしてどれぐらいのクォリティの撮影・編集が行われたのかはわからないけれど、これだけのヴォリュームは楽しみだなあ。Scream Of Angerもやってるのね。早く観たい。海外では3月21日発売、日本ではいつになるんだろ。

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RAGE at 渋谷クラブクアトロ

前回の来日の素晴らしさに思わず今回も行って来ました。って相変わらずCD一枚も持ってないんですけどね。このライブもソールドアウト。昨日のSONATAもDOJOもソールドアウトだったし、なんか景気がいいよね。ソニマニは人入ってたのかしら。

前回はなんとなく有無を言わさぬ迫力にぐっと引きずり込まれてそのままヘドバンの嵐の中ライブが終了したような記憶なんですが、今回はヤンメンちゃんと同じくやや冷静にというか、昨日のDOJOが凄すぎたからどんなライブ観てもかすむのは当たり前っつーことで自分にも言い聞かせて観てたりしたんですが、やっぱこんだけ決め曲持ってるバンドは強いわけで。なんだかんだで盛り上がるわけですよ。

正直弦楽器二人にはメタルとしての圧力、尖り、グルーヴみたいのが欠けていて物足りなさを感じたりもするんだけど(ピロピロうまいけど)、そこらへんはマイク・テラーナが肉食パワーでカヴァーしてるからギリギリ持つというか。いや久々にあんな長いドラムソロ見たよ。

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2005年02月05日

Extreme The Dojo Vol.11 at 渋谷クラブクアトロ

dojo_vol11.gif


今回のDOJOは今もっとも「批判しちゃいけない」ムード満載の3バンドということで当然のようにソールドアウト。整理番号600番台だったんで会場に入れたのは開演時間ギリギリでした。ちなみに山崎さんは整理番号無視して入ったらしいです。

ISIS
勝手にMASTODONが一番手だと思ってたのでヴォーカルが出てきたときはあれ?と思った。MASTODONは上でゆっくり観てようと思ったんだけどISISだったので思わずフロアに降りてしまった。

前回の来日公演があまりに素晴らしかったので周囲に「凄かった」とやかましいほど言っていたんですが、今回ショボかったらそう言ってた俺が恥ずかしくなるよ!と自分のことばかり考えていた僕です。
しかし彼らはそんな小物な俺の心配をよそに、やっぱりものすごいライブをみせてくれました。セットはほとんど新作PANOPTICONからで、OCEANICからThe Beginning And The Endを混ぜたってぐらいだったらしい。決してアタマから疾走したりすることのないサウンドですが、聴いているうちにグイグイと引きずり込まれていく求心力はさすが。アップテンポになったときのグルーヴもすげーしそのダイナミズムと言ったらもう。前回よりもややサウンドはすっきりと整理されていたというか前回のほうが混沌としていた気はするんですが、その分さらにスケールは大きくなったような印象も。

やっぱりMOGWAIあたりに共通する雰囲気はあったんだけど、あっちがエフェクト等のテクノロジーも使って独特の世界観を築いているのに対し、ISISは確かにキーボードとか使っていてももう少し肉体で勝負!みたいな雰囲気もあって、そこが激烈音楽たらしめているところなのかなとも思った。どっちがいい悪いじゃなくてね。

新作はいたるところで絶賛されていたけれど、ライブのあの迫力を体感してしまった人間からしてみたら「ふーん」って感じだったんですが、ライブではその新作の曲もやはり凄まじい。MOGWAIにしてもISISにしてもさ、CDで聞いても絶対凄さはわからねーだろうなと思う。ライブを観るとこういうダイナミズムを録音する技術はまだまだなんだな、と思ってしまう。イヤーな感じの選民意識だと自分でも思うんだけど、ライブ観た人ならこう言いたくなる気持ちわかってくれるんじゃないかしら。

まあそんな細かいことはともかく、1番手から恐ろしいライブだったよ。暴れている人は少なかったけれど、それは体に訴えかけてこないというよりも、音楽に体を鷲づかみされて動けない、って感じだった。曲間に起こる拍手と歓声は大きかったしISISならではの盛り上がりだったと思う。ちなみにキーボードはフランク・ザッパみたいなルックスでした。

MASTODON
YAMA-ZKさんが「前来たときは大したことなかったんだよなあ」と言っていたのであまり期待していなかったMASTODON。長いSE(白鯨がらみの海のSE?)に導かれて始まったライブはISISとは反対の勢いで攻めてくる。

ホワイト・トラッシュな風貌とやっぱりアメリカならではの泥臭くベタついたアングラ臭を漂わせながらも随所にIRON MAIDENちっくな場面転換やツインリードを織り込み、RUSHにも通ずるテクニカルな雰囲気も感じさせる彼らの音楽はライブではさらに凶暴。アホみたいに手数が多いのにきちっとタイトに決めてくるドラムなど、もうカッコイイの一言です。テクニカルなところがあるおかげで音に適度に張り詰めた緊張感みたいのがあったのもかっこよかったな。しょっぱなはどこかバラついた雰囲気もあったんだけどそれもすぐに解消され、その恐るべき迫力でフロアは騒乱状態。ISISのときのまま前のほうにいたので色々巻き込まれて楽しかったよ!Iron Tuskんときとかマジ大変でした。あとラストにやったMELVINSのカヴァー!これもめちゃめちゃかっこよかった。

CONVERGE
セットチェンジに得たいの知れない音楽かかっててチョー面白かった。FUCK OFF!FUCK OFF!みたいな。で、そのセットチェンジの間サウンドチェックっぽいのもやってたんだけど前の2バンドの3倍ぐらい音でけーの。PAの前にいたんでこれやべーんじゃねーの?と思いつつゾクゾク期待。

CONVERGEのライブを観るのはBeast Feast以来・・・というかそんときしか観たことないんですが、JANE DOEを買ったときはまだこういう音楽好きじゃなくて「意外と聴けるわ」程度の感想だったのがそのBeast Feastのライブで衝撃受け、去年出たYOU FAIL MEでどっぷしハマった俺としては今回のライブに超期待してました。

で、ライブが始まったわけですが、音がデカい!!とかそう思ったのも束の間、音のデカさよりもフロアの騒乱状態のほうが大変でそんなこと構ってられなくなりました。モッシュピットのすぐ横で飛んでくる人をさばきながら観てたんですが、尖るギターと穴の開きまくった肺で絶叫しまくるようなヴォーカルとカオティックなのに決してグダグダになって圧力を失うことなく、ツブのそろったリズム隊の素晴らしさ。激烈さだけじゃなくてアルバムと同様のドラマ性や叙情性も感じられたしそりゃみんな暴れたくなるわね。前の方意外と女の子多かったんだけど鼻血出したりしていろいろ楽しそうでした。後半にはISISのキーボードとかもダイヴしてたし。

もうそんな状態だったので細かいとこまで覚えてないんですが、3バンドともマジ凄かった。今年のベストライブ候補になりうるライブを一気に見せられた感じ。もう今年ライブ観なくていいよ、ってぐらい充実度が高かった。ゲキソク君も言ってたけど3バンドともカラーが違ってたのもよかったよね。で、こういう言い方するとまた痛いかもだけど、どのバンドもカラーは違えどもロック、激烈音楽だからこその先鋭性、芸術性、肉体性、衝動性とかを見事に持ち合わせているところは共通していて、そういうバンドがそれぞれにしかできない方法論で音楽を叩きつけてくるわけでさ。本当に見事だった。すんごかった。まいった。

ライブ後はこの感動を語り合うためにゴメギャザのこったんと合流して軽く飲み。YAMA-ZKさんの一般人の感性を無視した「デス声っておまえどういう意味で言ってんだ?デス声には色々あるのを知っているのが常識だろ、全部わかってないやつはデス声って言葉使うな的講釈」と、「IRON MAIDENは誰でも知ってるはずだコミュニケーション」がおもろかったです。名言「レビュー読んでも曲わからない」。
げんしけんは俺テレビで観たことあったっぽい。

投稿者 trouble : 23:47 | コメント (5) | トラックバック

フライングで

1分1秒でも早く聞きたいーと思ってたTHE MARS VOLTAを買いに行って、つい他のにも手を出してしまいました。

Frances The Mute / THE MARS VOLTA
Soul Mover / GLENN HUGHES

前作以上に気軽に聞けないムードプンプンのTHE MARS VOLTA。近いうちにきちんと感想書こう。
で、グレンなんですけど、今回はドラムがチャド・スミス、ゲストにデイヴ・ナヴァロ!ナヴァロはキモい!まあチャドは加入したときから「メタル野郎」ってバンドの中で言われてたしグレンとも親交が深かったんで参加そのもに驚いたりはしなかったんですが、ここまでグレンのファンクと相性がいいとは思わなかった。レッチリっぽさもプンプンしたりするんですが、そういう細かいこと言わずともとにかくかっこいいんです。レッチリファンが聞いても楽しめたりしそう。

投稿者 trouble : 13:33 | コメント (1) | トラックバック

2005年02月04日

SONATA ARCTICA at 渋谷AX

メロスピの肉体性と機能性を確認しに行ってまいりました!

アルバムと同じく2曲目のBlinded No Moreでテンション一気にガタ落ち。ところが3曲目にいきなりFull Moonが来てかなり興奮。こんな位置でこの曲やっちゃってどうなるんだろう!!とちょっと盛り上がってきたんですが、その後もSilenceとかそういうどうでもいい曲(いや単体で聞くと実はこれキライじゃないんだけど)を織り交ぜながらライブは進行し、本編はとにかくかなりの疲労を感じました。早いだけで全然メロディーがいいとも思えないSan Sebastianもなんだか「みんなやれやれ言うからやりました」みたいな雰囲気だったしなあ。

もうあまりにつまらないので座っちゃおうかと思ったんですが、アンコールのGraveimage、Don't Say Words、The Cageにはさすがにグっと来ました。Don't Say Wordsはライブでは一層映えて良かったよ。この曲は大好きだ。

昨日書いた童貞のロック性がなんてのは半分冗談であって、やっぱこのバンドはメロスピの機能性を最大限追及したバンドだと思うんですが、その「機能性が命」ってのを実感させられたライブだったなあ。トニーは過去最高に声が出てたし、バスドラの連打にときどきバラつきがあったような気もしたけれど全体的にはバンドの演奏そのものもよくまとまってる。コミカルなキャラは相変わらずでカリスマ性の欠片もないけれど(ベースの服装と佇まいが猛烈にキモいです)、親しみやすいパフォーマンスとテンポ良い進行には大会場で演奏してきた経験も活かされてるんだろうと思う。でもね、このバンドってそれだけで聞かせることができないバンドなんだよね。演奏がまとまっていても、よく歌えていても体に訴えてくるものは何もなくて。メタルの肉体性と表現者としての説得力の欠落。

まあ俺は彼らには最初からそんなもん期待してないし、今更言うことでもないんですが、それでも前回の来日ではそれを補って余りある「メロスピとしての機能性」が最大限に発揮されてて実際すごい感動できたライブだった。それが今回はその「機能性が高い曲」がセットには少なかったんだよなあ。こうなってしまうともともと演奏者とか表現者としての地力が無いバンドだけにライブはキツい。自分達がバンドとして演奏の説得力で勝負できるバンドだと勘違いしてしまったのか、それとも欧州ではああいう曲が求められているのか。New England Metal Festivalでウンコ投げつけられてくるといいよ。

以上、ネガティブな点をあげつらうときほど饒舌になる、ということを確かめてみました。

投稿者 trouble : 23:47 | コメント (0) | トラックバック

2005年02月03日

釣られ

「音楽雑談・ライブレポ」のカテゴリーを「音楽雑談」と「ライブレポ」に分けました。なんで一緒にしてたんだろ。

なんか俺が「ロックの肉体性」って言葉を多用しているみたいにこないだ慶応大学のOVERKILLマニア(じゃなくてボンバヘな小泉首相だ)に言われたんだけど、よく考えるとこんな言葉使ってねーよ。ていうかMLの管理人僕やりますよ!「メロスピは機能性」ってのは良く言うけど。大仰なイントロから疾走し、ブリッジでいったんテンポダウンしてサビはカノンのコード進行で間奏パートに「おーおー」言うとこがあればおめーらそれだけで神曲とか言うんだろーみたいな。リスナーの求める形式が決まりすぎてる上に同じようなカタルシスだけが求められてるから、メロスピっていうのは「その種のカタルシスをもたらす機能だけ」を追求している音楽ってことで「メロスピは機能性」って言ってるわけです。まあメインストリームの音楽なんてみんな機能性追求してなんぼですけれど、メロスピはその形式的枠組みが一層厳格な上に再生産に美徳を感じているようなので、あえてこう言っておるのですバーカバーカ。やっべーこういうこと書いてるとめちゃめちゃメロスピ聴きたくなるな。

そもそも「マッチョは絶滅しろ」「でもマンチョは好き」と思ってる俺はロックに肉体性なんか求めてなくて(後者は肉体性か・・・)、んなもんなくていいからウジウジ感(ナヨナヨ感とは違うぜ!TEARSとかマジどうでもいい)や焦燥感みたいのを感じさせてくれるチリチリとした音楽が好きなのです。いやそこにマッチョな雰囲気が伴ってもいいんだけど、体育超苦手でケンカも弱いです、でも世の中に言いたいこといっぱいあるんです、みんなの前ではあんま言えないけど、みたいなほうがヘタレで好き。

そういう意味でもSONATA ARCTICAの初期は「女性器ってどうなってるんだろう!」「コンドームってどのタイミングでつければいいんだろう!」「でも童貞だってバカにされるのイヤだから虚勢をはろう!」というメンバーの叫びが蒼き涙に乗って疾走してるようなサウンドで大好きでした。そういうのってロックだと思う!だからこそ、初期のSONATAに俺はまさに「完璧を求めるにおける理想(彼らが自分達の音をかっこいいだろうと思っていること)と現実の乖離(でもそれが実際は超チェリッシュで痛いものだったこと)」を見出し、そこに魅力を感じていたのである!Mary Louの歌詞世界の「夏・体験物語」的なブルタリティと言ったら、MESHUガーとかAxCxなんて裸足で逃げ出すよ。

どうでもいいけど「求めるにおける」って文章変だろ。しだいてんにツッコミ入れてる場合じゃねーぜ!

というわけで「俺はSONATA好きなんだ!」という思い込みを強くして、明日SONATAのライブに行ってきます。買ってすぐんときは「つまんねーアルバムー」と思ってたんだけど、久しぶりに聞き直したらDon't Say WordとかMy Seleneとか超いいんですけど。

投稿者 trouble : 09:18 | コメント (3) | トラックバック

2005年02月02日

INDEPENDENCE-D

THINE EYES BLEEDってパッと見THIRD EYE BLINDに似すぎだ。

このイベントで見たいのはHEAVEN SHALL BURNとIMPIOUSなんだけど、両バンド別の日に出るんだよなー。HEAVEN SHALL BURNはメタルの日にしちゃえばいいのに。ロドリゲス!

投稿者 trouble : 23:25 | コメント (7) | トラックバック

ただいま。

なんかもうこっちには音楽ネタしか書くことないな。プライベートネタはmixiで。
ということで、買う予定がなかったのばっかりいっぱい買ってきました。

CD
I / MESHUGGAH
Tourmoil / PAIN CONFESSOR
Trace Of Sadness / VANILLA NINJA
The View Is Amazing / MY AWESOME COMILATION
Handsome Boy Modeling School / WHITE PEOPLE

DVD
Rocked Wired & Bluesed The Greatest Video Hits / CINDERELLA

まずメスガーは、僕も話の輪に入れて欲しいというピュアな思いで買いました!このバンドは友だちから借りっぱなしの(ゴメナサイ)の1stしかきちんと聴いてなくて、それがなんかイマイチ受け付けなかった上に、New England Metal FestivalだったかなんかのDVDで観たライブパフォーマンスがなんだかなあって感じだったので通ぶった人たちが騒げば騒ぐほど「けっ」とか思ってたんですが、今回このシングル聞いてみて手のひらを返そうと思いました。かっこいいー。

PAIN CONFESSIONはウニオンでのSOILWORKとKILLSWITCH ENGAGEが云々みたいな売り文句に煽られてつい。「あー、こういうのって失敗多いんだよなあ」って思ってたんですが、これは良いです。あんま似てるとも思わないけど、とりあえず最近のSOILWORKより印象いいかも。聞き込むべ。

VANILLA NINJAはYAMA-ZKさんにオススメするために買いました。HEART meets t.A.T.u.みたいな感じだよ!あ、HEARTはちょっと嘘。半年後には中古CD屋の300円ワゴンに「新品未開封」が大量に並びそうな、そんな予感を感じさせてくれるところが魅力です。ちなみにバンド名の由来は「ブロンドヘアーの凄いヤツ」ということです。なんで買ったんだろ。ライナーのプロフィールには携帯の機種が書いてある。「Nokia 3100」とか。なんか意味あんのか。

マイオーサムナンチャラは、試聴買い。ハンサム養成学校は3曲目のマイク・パットン参加曲目当て。CINDERELLAを買ったのは、性(さが)です。Somebody Save Meは当時流れていたのと違うヴァージョンな気がする。キーボード奏者が結構派手に写ってたクリップだったんだけどそれが権利関係かなんかで引っかかったのかしら。


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2005年02月01日

THE RASMUS at 恵比寿リキッドルーム 2日目

昨日のライブ観て別に2日続けて観るバンドじゃねえなあ、とか思ったんだけど勢いでチケ二日取ってたので観に来ました。セット変えてくるかもしれないしねー。

と思ったら昨日とまったく同じ・・・。長年一緒にやってるメンバーだからセットリストは融通利かせられそうなのになあ。でも同じセットリストで続けてやっているからこそ絶妙の間が作れるんだろうしスリルじゃなくて完成度を提供するバンドなんだろうからそこに文句言ってもしょうがないか。

まあ昨日書いたとおりパフォーマンス自体は素晴らしいものだったし十分楽しめたんですけどね。Not Like The Other Girlとかは間奏部分のベースランニングとかが凄く気持ちよくてCDよりもかっこよかった。このベース、派手な技巧があるわけじゃないんだけど気持ちいい音出してた。んでもってドラムは常にメガネが曇ってた。

ていうか、帰りに入ったちょい高めの居酒屋で食べた鱈の西京焼がめちゃめちゃうまかった。

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